浮き彫りとなった課題… 「前進」への第一歩に~組織拡大交流会議


2017年6月3、4日、東京都内で「組織拡大交流会議」が行われ、スポーツ連盟組織の10数年来の「現状維持」を打開し、前進へと転換する大きな流れを作り出そうと、都道府県連盟や全国種目組織から60名が集まりました。

基調報告で全国連盟の石川正三理事長は、組織拡大の意義について「スポーツ連盟は、スポーツ愛好者の要求を実現し、楽しさを広げることに大きな目標がある。そのためにも、会員拡大の全国的な数字目標として、10%、4500人増をかかげたい。この取り組みには、困難を抱えている組織の課題を解決し、活性化を図ることも重要。スポーツを楽しむためには『時間、場所、お金』が不可欠で、長時間労働や貧困・格差など、社会的な課題の解決も必要。こうしたことがスポーツ連盟にはある」とプレゼンテーション。

この提起には「今の状態で手一杯」「加盟のメリットとは何か?」「財政的に困難」などの反応があったことを報告しながら、石川理事長は「スポーツ連盟の活動をいかに魅力あるものにするかを、今回の分散会・相談会で意見を出しあい、前に向かって進むキッカケにしたい」と述べました。

活動レポートでは、徳島バレーボール協議会の「人気の秘訣」、三重卓球協議会の「発足と展望」、全国サッカー協議会の「チーム数減少の問題」、北海道テニス協議会での「運営の危機的状況」という4つのテーマについて、各担当者が報告。中でも、サッカー協や北海道テニス協の課題に対しては活発な意見が出され、その後の分散会でも大きな議論となりました。

分散会では、「10%増に向けて何が必要か?組織拡大への課題、問題点をあぶり出す」をテーマに、7つのグループに分かれてディスカッションを行いました。

この分散会で出された主な意見は、
・「人と人のつながりを大切にし、フレンドリーな関係を広げること」「他の種目の活動も見て、生かすこと」と何よりも熱意が必要と。
・大会運営では、多様性な「行事」「レベル」「対象」「開催日」工夫など。
・都道府県連盟が「出前大会や新しい種目にチャレンジ」「他団体との協力・共同」を。
・依然として「施設確保は重要」な課題。「学校や企業の施設利用の働きかけ」「自治体のメリットを活かす」こと。
・組織運営・クラブづくりでは、「顔が見える運営」「つながりを重視」「種目の運営が会員にわかるようする」「後継者作りを意識すること」。
・財政に関する問題では「分担金の流れを明確に」「運営に負担がかからない分担金制度に」。
・広報では、「スマホに対応したホームページ」「フェイスブックなどSNSの活用」が大切。
などがありました。

2日目は、各種目のブースに参加者が分かれて、現在抱えている課題の改善や新たな活動の展開にむけて話し合う「大相談会」を実施。参加した種目組織と都道府県連盟が協力して活動を行うための第一歩として、協議する場となりました。

大相談会の各ブースで話し合われたこと
〈卓球〉
・和歌山では、現在年4回から年10回程度の大会開催を図る。
・浜松での卓球講習会、平日練習会を企画し、ショップやクラブに宣伝する。
〈サッカー〉
・和歌山県連盟は、サッカー協議会との意思疎通を図る。
・宮城で少年少女サッカー教室(大会)の開催を検討や、東京のグラウンド確保で連盟のバックアップ。
〈ソフトボール〉
・埼玉、愛知での「リーグ組織作り」「和歌山での県連盟とのパイプ作り」や、既存リーグ加盟では分担金での柔軟な対応の必要性。
〈ウォーキング〉
・千葉、長野、徳島での活性化、埼玉県でのクラブ結成にむけての取り組み。
〈バレーボール〉
・京都での「チーム数の拡大」、東京での「再開」、滋賀での「設立」などで、県連盟と協議。静岡での、神奈川や関東ブロック大会参加呼びかけ、つながりを作る。
〈野球〉
・長野での可能性への支援。
・宮城からの全国大会参加チームへの、全国野球協からも後押し。
〈テニス〉
・北海道テニス協は、来季に向けて、アンケートなどを実施しながら会員の意見を聞いて、喜ばれる(求められる)大会を行う。
・広島にテニス協議会ができるよう取り組む。
〈ミックスバレーボール〉
・広島で年内に体育館を確保して、バレー協設立を試みる。
・宮城では、新たな出前大会を開催できるよう県連盟での検討。
〈ランニング〉
・埼玉での再建への取り組み。岩手で組織化にランニング研修会やランニング後の交流会を検討。
〈バスケットボール〉
・大阪では、近くの大会につながりをつくる取り組み。京都では、8月の第1回バスケットボール大会の成功を。全国スポーツ祭典東北主管では、東北での開催も選択肢。
〈女性ネットワーク〉
・各地域でスポーツ連盟の活動している女性のネットワークづくりを進める。
・親子ウォークや親子クラブの活動を広められるよう取り組む。
〈スポーツ科学研究所〉
・今年秋、ウォーキング協議会とスポーツ科学研究所の研究会を計画し、イギリスの「歩く権利」の歴史と「今」について、映像と文書報告と討論で深める。

このように参加種目と都道府県連盟、全国連盟との相談会が行われ、率直な意見交換が行われ、今後の方向性が明確になりました。

最後に全国連盟の和食昭夫会長は、「熱心な討論により、前進に向かう一歩となった。たくさんの課題が出たが、こうした会議を都道府県連盟、全国種目組織で行うことも必要ではないか。また、全国の会議のあり方についても改革を検討したい。それぞれの課題を解決していきながら、スポーツ連盟のメリットを作り、共通理解を広げられればと思う。今後は、課題を抱える組織を対象としたプロジェクトを作るなど、具体化を進めたい。スポーツ連盟は、人のつながりがあってこそ。大変な時に、皆を信頼して頑張ることが大切だ」とまとめました。