第33回定期全国総会|スポーツの楽しみをすべての人に広げよう
新日本スポーツ連盟第33回定期全国総会が2018年3月10~11日、都内で開催され、21都道府県と12種目組織から78人の代議員と役員などを合わせて約110人が出席しました。今回、来賓として畑野君枝さん(衆議院議員)、山口歩子さん(シオヤレクリエーションクラブ)、伊藤高弘さん(スポーツ連盟顧問)の3名からの挨拶と、スポーツ庁など14団体と個人7名からのメッセージをいただきました。
議案を提案した石川正三理事長は、「施設確保が難しい中で、どう打開するか知恵を出し、仲間の輪を広げたい」と強調。分散会では、「世代継承」や「誰もが参加できるスポーツ」をテーマに話し合いが行われました。
「スポーツの楽しみをすべての人に広げよう」と呼びかけた議案は、全会一致で可決され、2日間の日程を終了しました。次期役員には、和食昭夫会長(再)、石川正三理事長(再)、佐藤信樹事務局長(新)ら38名が選出されました。
「全国総会NEWS」No.1 (案内)
「全国総会NEWS」No.2 (発言ダイジェスト、メッセージなど)
「全国総会NEWS」No.3 (分散会報告、顕彰など)
▼発言ダイジェスト
相馬常吉さん(全国卓球協議会)
三重県卓球協議会が設立して2年、当初76名から126名と倍になった。大会を毎月開催、合同練習会を2ヶ月に1回実施している。「楽しめる大会があるよ!」と声をかけ、こんなこと、あんなことにチャレンジを惜しまない実践に取り組みたい。
田畑健さん(全国勤労者スキー協議会)
戦争は、スポーツの自由な発展を押しとどめる。「スポーツ9条の会」は「スポーツは平和とともに」のもと、憲法9条改悪ストップの署名運動を行ってきた。ぜひクラブにこの署名を広めて、スポーツ愛好者から「平和がいい」という意志表明をしてもらいたい。
池田文彦さん(福岡県連盟)
昨年、北九州市で24年ぶりに全国卓球大会を開催し、運営もスムーズに終了した。北九州市の共催が取れたことで体育館使用料が無料になり、さらにコンベンション協会から助成金を受けることができた。最後、体育館を出る時がほっとした瞬間。
藤本貴さん(神奈川県連盟)
神奈川県連盟は、昨年6月の総会で4000名(15%増)の目標を掲げ、現在4049名と579人の組織拡大を実現。卓球、月例マラソンをはじめ各種目とも頑張っている。今年4月からは、20代の新入職員を迎える。責任があるががんばりたい。
伊波政昇さん(東京都連盟)
北区連盟では、各種目スポーツ祭典の表彰を行う「北区ナーレ」という閉会式典に取り組んでいる。定番のオークションが人気。また、かつて100未満の参加規模だった月例赤羽マラソンは、いま3~4倍の参加となり、ランナーズ賞も受賞した。後継者対策が課題だが、今後も盛り上げていきたい。
大塚晃司さん(愛知県連盟)
スポーツ連盟の発展には、安定した施設確保が欠かせない。財源の裏づけのある「スポーツ施設整備基本計画」を。全国連盟が主導権をもって、スポーツ関係者の要求を実現するための共同運動を進めてほしい。
西田重好さん(滋賀県連盟)
昨年は、国民平和大行進の通し行進者として東京→広島を歩き、スポーツ連盟にはお世話になった。日本原水協への加盟に賛成。将来的には、各都道府県連盟での加盟を
山本和道さん(和歌山県連盟)
2016年に和歌山市スポーツ振興課と懇談を行い、市民スポーツ広場に障がい者用のトイレ設置が実現した。全国連盟が都道府県連盟と連携を取り、国や自治体との懇談の機会を増やし、スポーツ基本法を生かした要求運動を広げよう。
平石一男さん(神奈川県連盟)
国民平和大行進で歩いていると、スポーツ連盟の方々から声をかけられる。感激したのは、マラソンの旧友が毎年来てくれること。平和行進があるからウォーキングクラブに入会したという方もいた。スポーツは平和とともに、スポーツは文化だ、平和も文化だ。
青沼裕之さん(スポーツ科学研究所)
研究所は、国や自治体のスポーツ政策の分析や「人間にとってスポーツとは何なのか」という問題への追求にチャレンジしている。今後はホームページを立ち上げ、スポーツ連盟の活動とリンクした取り組みをしていきたい。
神田孝さん(福岡県連盟)
今年2月、「過去の戦争とスポーツの歴史」をテーマにスポーツ講演会を開催した。いま、日本の状況を考えると、平和の文字が消えかけている。スポーツは平和の中でこそ。さまざまなスタイルで「スポーツと戦争は相容れない」という声をあげていこう。
植山良和さん(全国サッカー協議会)
サッカーに未来はあるのか。日本では、サッカーを楽しむ余裕のない元気を失った若者が増えてきた。組織拡大が叫ばれているが、これからは良いグラウンドの確保、審判技術の向上を重視し、サッカー協を充実させることにエネルギーを注ぎたい。
近藤彰さん(愛知県連盟)
スポーツ活動と政治活動を分ける。署名活動、平和活動は別の団体を作ってやればよい。スポーツ基本法をもとに、全国のスポーツマン誰しも思うような署名活動をやっていくのがよいのでは。
鈴木義弘さん(全国卓球協議会)
津市に新設された「サオリーナ」という体育館は、床が真っ白でボールが見づらいなど欠陥が多く、あちこちから苦情が出ている。津市と三重県の議員に相談している。スポーツ科学研究所には、施設が足りないことへの具体的な打開策を考えてほしい。岐阜に卓球協議会を作りたい。リレーマラソンの運営マニュアルがあるので活用してほしい。
菊池剛輔さん(宮城県連盟)
今年10月の全国交流ウォーキングは宮城の松島海岸、希望者を募って被災地視察も予定している。震災から7年、いろいろな問題が出ているが、被災地を訪れる人も減っている。この機会に是非、東北のお土産を買い、食事をして、教訓を実感してもらえたらと思っている。
太田正洋さん(京都府連盟)
京都では昨年8月に第1回バスケ祭典を開催し、25チームが集まったが、地元の参加がごくわずかだった。次回は地元チームを集めたい。今後、バスケの全国組織確立の展望は? また、バスケ全国大会への補てんをしなくても済むような手立てはないのか。
吉越悦子さん(全国ウォーキング協議会)
スポーツ科学研究所の協力を得て、「歩く権利」の本の翻訳と勉強会の開催が実現した。ウォーキング大国・イギリスでは、「歩く権利」について法廷で争われることもしばしば。今後も、ウォーキング協議会は、研究所とともに歩んでいきたい。
佐藤静雄さん(岩手県連盟)
「東北発 広げよう スポーツの輪」をスローガンに、第32回全国スポーツ祭典が東北ブロック主管で開催される。今回、「東日本大震災支援」という文言は使っていないが、ぜひ東北に来て、現状を見てほしい。宮城・岩手の2県で力を合わせて成功に導きたいので協力をお願いしたい。
金子泰夫さん(千葉県連盟)
スポーツ基本法の具体化を問いただすことを目的に、千葉県・市との交渉を始めて今年で5回目。スポーツ予算増額を要請する署名(400~500筆)を届けている。信号機の設置、駐車場の改善など実現したものもあり、今後も粘り強く続けたい。
関戸弘充さん(大阪府連盟)
大阪では、情報発信、特にホームページやSNSに力を入れている。フェイスブックに写真を載せて、会員に見てもらうことが、組織拡大につながる。府連盟の会員は、2年前より10%アップ。インターネット活用法については、広報局が教えてくれる。仲間を増やして、楽しい団体にしていきたい。
▼スポーツ庁からのメッセージ
新日本スポーツ連盟第33回定期全国大会総会の開催にあたりまして、御挨拶申し上げます。
スポーツには、個人の楽しさや喜びだけでなく、心身の健全な発達や健康、体力の増進、生活習慣病の予防、これらの結果として健康寿命の延伸といった様々な効果が期待されています。
スポーツ庁では、昨年策定された第2 期スポーツ基本計画に基づき、全ての人々がスポーツを「する」「みる」「ささえる」機会を確保することを目指しており、スポーツを通じた健康増進や地域・経済の活性化、国際貢献等の施策に取り組んでいるところです。
貴連盟におかれましては、長きにわたり市民スポーツの振興・発展に尽力してこられました。スポーツの魅力と価値を全ての人々に広げることを目指す皆様の活動に対し、深く感謝申し上げます。
本総会が、スポーツの更なる振興・発展に寄与することを期待するとともに、皆様のますますの御発展、御健勝を祈念し、御挨拶とさせていただきます。
平成30年3月10日 澤川 和宏
▼来賓あいさつ
衆議院議員 畑野君枝さん
貴連盟が50年以上、「スポーツは国民の権利」との理念を掲げ、その実現に向けて活動してこられたことに敬意を表します。
先日、平昌五輪を視察しました。その後、南北対話が始まり、スポーツのもつ平和の力を感じられました。「スポーツは平和とともに」のスローガンが、ますます重要になってきています。憲法9条を守るための「3000万人署名」がスポーツ分野でも大きく発展することを期待してやみません。スポーツの多面的な発展、日本社会の民主的な改革に、共に力を尽くしましょう。
シオヤレクリエーションクラブ
山口歩子さん
私たちのクラブは「障がい者と健常者が共存し、ともに生き生きと暮らせる社会をつくりだすこと」を目的として、障がいの有無や種類にかかわらず誰もが参加可能なかけっこ教室・陸上教室やレクリエーション活動などを行っています。2020年に向けてではなく、その先もずっと続けられる、誰もがスポーツを楽しむことができる環境づくりが非常に重要と考えています。
そういう意味でも、長年、スポーツを楽しみをすべての人に広げようと活動を続けている新日本スポーツ連盟の役割に期待すると同時に、ますますの発展を心より祈念しています。
顧問 伊藤高弘さん
1965年11月の創立から53年日の春。まさに「100年へ3歩踏み出す、芽吹き時」であり、桃、梅と今は寒桜、河津桜が咲いています。アメリカの画家の作品(1938年)で「サンデーフットボール」という絵があります。板塀の節穴から二人の失業者らしい男が、何やら覗き込んでいます。1929年の世界恐慌から10年、入場料が払えず、華やかなプレイを中で観戦できない情景です。明暗―光と陰―、非日常時空間と日常生活空間。スポーツをプレイしたり、観戦するために欠かせない「貧困克服」の問題を鑑賞者につきつけています。今の日本に引き寄せて言えば、社会保障の充実で健康で文化的な生活を。
平昌五輪で小平選手が「よくやったね」と李相花選手に優しく声をかけると李選手が肩を寄せた場面。国境を超えた友情と連帯は、凍った政治風土を溶かし、世界を拡げるための平和が決定的な条件。世界に誇る憲法9条を守り、健康で文化的な生活を実現するために、3000万署名など諸団体と共同して取り組んでくださるようお願いします。
▼分散会報告
[テーマ]
(1)世代継承と新たな人材発掘
(2)誰もがスポーツに楽しく参加するためにできること
1グループ
20~30代は忙しい 定年後の60代以上でも良い
若い人でボランティアをやってくれる人は少ない。大会参加者に連盟を紹介し、運営を手伝ってもらいながら、仕事を覚えてもらうようにしたい。20~30代は忙しいので、定年後の60代以上でも良いのではないか。会議を役員だけにせず、オープンにして若い人も参加してもらったらどうか。大会では、同じレベルの人、同年齢の人を集めたリーグ戦はどうだろうか。(報告=天川有美さん)
2グループ
女性・子どもも楽しめるような活動を
女性・子供の参加が少ない。女性・子どもも楽しめるような活動をしたい。女性・子どもの参加についてフランスのFSGTなどを研究したらどうか。ビビチタのような世界同時マラソンを広めたい。参加者を増やすために、新しいスポーツ、例えば健康マージャン、吹き矢、魚釣り、囲碁、将棋などを取り入れるのはどうか。(報告=市川和広さん)
3グループ
いろんな世代で運営を分担するのが良い
どこも世代交代は難しい。昔と同じやり方では通用しない、今の時代にあったやり方が必要ではないか。運営などもいろんな世代で分担するのが良いと思う。20代の参加者をやさしく見守ってほしい。(報告=大田哲也さん)
4グループ
母ちゃん、子どもを大事に周りにやさしく
分散会に女性の参加が少なかった。昨夜のような会議では女性が参加できないのではないか。平和について考えてみた。母ちゃん、子どもを大事に、周りの人にやさしく接すること、これが一番と思った。(報告=野崎進さん)
5グループ
「スポーツ、君が主人公」は競技と運営の両方をやること
プレイヤーは多いが、運営・役員にはなってくれない。「スポーツ、君が主人公」は競技と運営の両方をやることだと分かってもらいたい。連盟の理念を伝えきれていない。兵庫のロードレースのように自主的にかかわれないか。若い人が少ない種目もあるが、60代以上でも良いのではないか。子ども・ジュニアの育成をしていけば、大人になってから参加してくれるのではないのか。別の地域に行って交流するのは楽しみだし、連盟らしい活動ではないか。初心者向けの大会をやってはどうか。人数が少なくてもできるスポーツを推進するのはどうだろうか。(報告=置田康典さん)
6グループ
小・中学生が参加すれば将来戻ってくることもある
種目によって難しいところもあるが、人柄をみながら一本釣りでやるのが良いのではないか。小・中学生に参加してもらえば、20代・30代になって戻ってくることもあるので、先を見て大会をやっていく必要がある。(報告=平野義明さん)
7グループ
社会的弱者やLGBTも楽しめる大会を
テーマの①と②はつながっている。誰でも楽しく参加できる大会をやれば、新たな人材も発掘できるのではないか。大会後にアンケートをとって、「こんな大会が良いよね」という大会をすぐ開催し、好評を得ている。社会的弱者やLGBTも楽しめる大会も考えていかなければならない。 (報告=菅原利幸さん)
8グループ
PCではなくスマホ、LINE・FBを活用すべき
運営は60代以上が多い。SNSで若い人にアピールする必要があるが、パソコンではもう古い。スマホ、LINE、Facebookにした方が良い。大会では「気軽さ」がキーワードだと思う。フットサルのように気軽に、身一つで入れるようなスポーツが大事だ。 (報告=植山良和さん)
9グループ
仮装やタイム申請など…大会に工夫を
テニスでは、レッスンや大会参加者の中で、役員になりそうな人に声をかけている。マラソンブームで多くの参加者があったが、連盟大会では参加が少なくなっているので、仮装やタイム申請など工夫した大会をやる必要があるのではないか。 (報告=脇海道博さん)
10グループ
世代を超えて新しい人が運営に加われるように
世代交代は難しい。若い人は忙しくて会議や運営などに参加できない。人材発掘では、世代を超えて新しい人が運営に加われるようにしたい。女性には年齢をこえて協力していただいている。若くなくても新たな人材に加わってもらい、できるだけたくさんの人で運営するのが良いと思う。 (報告=和田利男さん)
▼フォトギャラリー