新日本スポーツ連盟 第35期(2022-23年)活動方針

1、スポーツ活動をとりもどし、前進に向けてふみだそう

世界的なコロナ感染拡大によってスポーツ活動も日常的に出来ない状況が長く続いてきました。コロナ禍で多くの制約がある中で培った各地の経験も生かし、気持ちを新たに、反転に切り換え、活動を1つ1つつなげていき、楽しいスポーツの輪を作っていきましょう。

(1)新しい行事や工夫で組織づくり、人材の発掘を進めよう
・それぞれの組織では日々の大会や行事をこなすことで手一杯の組織も多いと思います。そのような中で更に行事を増やすことは容易ではありません。既存の行事の再点検や行事に参加している新しい人材の声を聞いてより魅力的な組織づくりを目指します。
・スポーツ愛好者の要求を分析し、時代に合った活動を行い組織の拡大を促進します。
・競技スポーツ以外の人も楽しめるスポーツ(ボッチャ、トレーニング、健康体操、ウォーキング等)も実践し、愛好者の要求に応えクラブづくりや加盟、登録を広げる活動を行います。特にボッチャについては各地域でのスポーツ推進委員や既に活動しているクラブ等と連携し、全ての都道府県連盟、全ブロックで「体験会」を開催し、新組織結成への準備を進めましょう。
・新しい仲間へも、組織運営の小さなことから大きなものまで積極的に関わりもってもらい、次世代を担う人材の発掘、育成を行います。
・新しい人材の発掘を目的とした行事を開催し、スポーツ連盟で活動する若手からベテランまで楽しく交流し、楽しめる企画を実施し、組織の活性化や仲間づくりを推進ます。
・2022年を前進の年への参加促進にむけ、新企画「年間ポイントランキング」を実施します。
各地で開催されているマラソンや自転車、水泳などあらゆる大会・レースや練習会(順位がつくもの)などへの参加数をポイント化して2022年の“年間ランキング”企画です。ランキングは総合のポイントの他、参加回数、年代、地域対抗、幸運度、星座対抗、干支対抗など楽しめるランキングを企画します(他に、他主催団体のポイントの集計連携なども可能)。

(2)新たな県連盟づくり
・沖縄県連盟づくりに挑戦します。2019年秋からつながりのある連盟関係者と面会や連絡を取り合い、新しいつながりの構築も始まっています。35期は卓球交流会をはじめとして、沖縄県のスポーツ愛好者にスポーツ連盟を知ってもらう企画を実施し、実際に沖縄でスポーツ連盟としての組織を担う人材を確保し、活動を行うことを目指します。また2024年開催予定の第35回全国スポーツ祭典で沖縄県を会場とした競技大会が実施できるような環境づくりを目指します。(主管予定は九州・沖縄ブロック)
・各ブロック会議で種目組織と連携をはかり、県連盟組織の無い地域での県連盟設立を目指します。
・「空白組織対策事業助成」の積極的な活用をそれぞれの組織で行い、新たな組織設立に向け多角的なアプローチで空白組織や地域を克服するよう取り組みを推進します。

(3)プログレスⅡ(組織拡大交流会)の開催
・スポーツ連盟で活動している仲間同士の交流は、組織間のかきねを越えて繋がりをより強化することやスポーツ連盟の活動を支える新たな人材発見に必要不可欠なものです。2019年に行った「プログレス」を発展させてスポーツ連盟の魅力を語り仲間づくりの輪がさらに広がるような楽しい企画で開催します。

(4)第34回全国スポーツ祭典、全国競技大会の開催に向けて
・第34回全国スポーツ祭典は四国・中国ブロックで開催します。誰もが参加できる開かれたスポーツの祭典として全国種目組織と共同して取り組みます。スポーツ連盟の魅力が伝わるような大会を開催し、その中で新たな出会いや新しい種目組織や県連盟立ち上げの足掛かりとなるような大会を目指します。スポーツ祭典を通してスポーツの楽しさ、素晴らしさが共有できるよう取り組みます。
・2024年の第35回全国スポーツ祭典は九州・沖縄ブロック(仮称)での開催に向け準備を進めます。第35回スポーツ祭典は沖縄県連盟結成の最終着地点として位置づけ、沖縄県連盟づくりと一体となって推進していきます。
・2026年第36回スポーツ祭典は東海ブロックでの開催を検討します。2028年は近畿ブロック、2030年は東北ブロックを主管とした開催予定です。
・スポーツ祭典との間に開催される2023年全国競技大会は、スポーツの楽しさ、素晴らしさが共有できる大会となるよう取り組みます。

(5)日本勤労者山岳連盟との協力・協同の取組み
賛助団体である日本勤労者山岳連盟と定期協議を行いながら、協力・協同して、国や自治体への要求運動、平和の取組み、環境保全活動、セミナーの開催を推進していきます。

2、国民のスポーツ環境改善、平和な社会を実現しよう

(1)スポーツ活動を支える要求の実現に向けて
いま、全国各地での施設利用の課題が山積しています。「スポーツ基本法」にもとづく「スポーツ基本計画」について国民のスポーツ環境が改善となるよう、スポーツ庁との要請・交渉を行います。スポーツ実施率の伸び悩み、施設数の減少の中で、スポーツ連盟が多様なスポーツ活動をつくり、スポーツの楽しさを広げることが求められており、すべての都道府県連盟が地域スポーツ振興にむけたスポーツ要求に関する自治体交渉を定期的にできるよう、連盟活動、種目活動のなかから要求を汲み上げる取り組みを促進します。
① 神奈川県では、「神奈川県立スポーツセンター」のオープンにあわせて神奈川県連盟は、施設への第2優先団体とは認めても、利用規則・事務処理要綱のなかで「スポーツ団体」でなく「公共的団体」と位置づけ変更が一方的にされました。その結果「大会開催日の調整会議の案内はない」「施設利用料減免の対象から外す」「サッカーで年間20日の利用がゼロ」という対応になっています。公正、公平でもなく、スポーツ振興に逆行する事態となっており、共同して取り組んでいきます。
② 東京都では、学校統廃合によって施設を使えなくなっている現状があり、「公共スポーツ施設の増改築」「学校施設の開放」などに関する“条例の制定”の取り組みにつなげます。 
③ 京都府の施設使用料の高さは以前からの問題であり、施設使用料金の高い地域については、使用料の引き下げを要求する運動に取り組みます。
④ 全国スポーツ祭典や全国競技大会などの会場として、東京オリパラで整備された施設の利用の要望をします。

(2)スポーツ基本法に基づく柔軟な支援策を求める運動
緊急事態宣言の中で自粛した活動の再開・継続のために、「スポーツ活動継続サポート事業」(スポーツ庁)が実施されたことは歓迎されますが、今後、政府・スポーツ庁にスポーツ基本法に基づく柔軟な支援策を求める運動を都道府県連盟・全国種目組織と連携していきます。

(3)スポーツのすぐれた価値を発展させる活動
スポーツ界での「暴力」や不正行為、スポーツの価値を根底から否定する不祥事などに対して、スポーツ界が自律的に問題の解決に取り組むよう提起をし、広く討論を進めることをよびかけます。「フェアプレイ宣言-スポーツの真の発展のために」を活用して、スポーツ界から暴力、不正をなくすためのアピールを行います。

(4)新たな課題について
スポーツ界での社会的な課題となっているジェンダー(生物学的性差に付与される社会的意味)平等、環境・気候変動危機などの新たな課題、平和な社会の実現に向けてスポーツ団体としての取り組みを行っていきます。

(5)「スポーツは平和とともに」を広げる運動を
2017年7月に国連で「核兵器禁止条約」が122ヵ国の賛成で採択され、2020年10月に条約発効に必要な50か国が批准し、2021年1月22日に「核兵器禁止条約」が発効となりました。現在(2021年12月24日)58ヶ国の批准へとさらに広がっています。

日本での“批准”への取り組み促進に向けて、次の取り組みを通じてスポーツ界から平和に向けた取り組みを推進していきます。
①核兵器廃絶への大きな流れを、スポーツ界から広げられるよう各地での「反核平和マラソン」の実施を推進し、応援します。各地の反核平和マラソンを集約し、ピースランナーを激励する「反核平和スポーツのつどいin広島」を、各種目の平和活動と連動して取り組みます。
②誰もが気軽に参加できる平和運動、「国民平和大行進」に積極的に参加促進し、「スポーツは平和とともに」の旗をつなげます。
③「東京~広島~長崎1500km反核・平和マラソン」は5年毎の節目に開催してきた流れを尊重して、2025年の開催に向けて体制を整え、さらに、夏の高気温化に遭遇している中で、開催の内容については、2021年12月18日の「反核・平和マラソン」オンライン交流会の論議、今後の各ブロック会議などから2023年度には企画案を提示し、今後も平和な世界に向けた活動に取り組みます。

(6)「2020東京オリンピック・パラリンピック」の今後の課題
コロナ感染が世界で広がる中、開催された中で浮き彫りとなった課題、今後のオリンピック運動の改革などについて、「2020東京オリンピック・パラリンピックの検証」を進めることをよびかけます。
①今後のオリンピック・パラリンピック開催について、オリンピック・パラリンピック憲章から乖離し、メディアに左右された競技時間や開催経費拡大などの点について、IOCに要請を届けるよう取り組みます。
②国連での「オリンピック休戦決議」など、平和な社会を築くオリンピック憲章の実現に向けて取り組みを進めます。
③札幌オリパラ招致については、北海道連盟と情報を共有しながら取り組みます。

(7)スポーツ施設情報センターについて
第35期は、神奈川・東京・兵庫、京都などの具体的な施設問題などにおいて、運動の事例を共有し支援できるような活動とその全国的な組織づくりを目指して、検討をします。

(8)ジェンダー平等、環境・気候変動危機問題、SDGs(持続可能な開発目標)などの課題に向き合って
SDGsのゴール目標に向けた取り組みは、スポーツ連盟の活動の内容にもあり、そのことをアピールし、組織的前進にもつなげよう。ジェンダー平等問題、環境・気候変動危機問題へのより深い理解に向けて、学習会の開催を継続し、何ができるかを考え行動に結びつける努力をすすめます。

3.相互理解と友好を、スポーツを通じて築こう

以前のような国際交流が再開するまでには、もうしばらく日本や世界の状況を注視した上でないと方針を立てられないのが実態です。そこで当面、国際活動局の活動をより充実させていくために検討すべき課題は次のとおりとなります。

(1)情報配信と身近な情報交換を活発化します
FSGTや韓国体育市民連帯の活動などの情報を収集し配信を今後もしていきますが、代表団を派遣したり招待したりといった大掛かりな交流は、もうしばらく計画を立てることは困難な状況です。そこで、ZOOMなどのツールを活用して、FSGTや韓国体育市民連帯といった海外の組織との少人数での気軽なオンライン交流会(近況報告や挨拶など)であれば準備や費用をかけずに実施できる可能性があります。そうした「小さな国際交流」を定期的に企画して、組織間の日常的な活動の情報交換を進めていくことを検討します。2022年2月に、オンラインで韓国体育市民連帯と国際活動局とのミーティングを実施する予定でいます。

(2)日本で暮らす外国人が参加しやすいスポーツ・文化交流を促進します
34期に取り組んだ在日外国人の応援事業への参加呼びかけを継続しつつも、日本で暮らす外国人がより参加しやすく、また交流を深める観点から、スポーツだけでなく、文化的な催しも織り交ぜていくことで相互の理解を促進するようなスポーツ・文化の交流イベントの実施を検討し、実施していきます。

(3)パリ五輪に向けた取り組みを開始します
東京オリパラで可視化された多くの課題とスポーツ連盟の活動の教訓を活かすべく、FSGTとも情報を共有していきます。また、パリ五輪に向けた現地の準備状況やFSGTの見解などの情報を収集し、2024年にはFSGTとのオリンピックをテーマとした交流事業の一環としてフランスツアーを組めるよう、準備を開始していきます。

(4)国際交流に関わる担い手の緩やかなネットワークを構築します
これまでも交流事業の際には連盟会員の個人的なつながりなどを駆使して通訳や翻訳に協力してくれる(連盟外の)方がいましたが、年に1、2回程度の拡大国際活動局会議(交流会)を開催して関係者を集め、連盟の活動を知ってもらったり親睦を深めたりするなどなど継続的で緩やかなネットワークを構築していきます。

4、いきいきと多彩に、深く、広く、各地、各種目の取り組みを発信しよう

(1)機関誌「ひろば」の普及
①スポーツ連盟への理解を深めるための機関誌として、より多くの人に読まれることを目指し、読んでいない人への取り組みを工夫します。
②読者に「お得感」を感じてもらえるような誌面を追求します。
③紙版「ひろば」に加えて、Line版「ひろば」発行の実現に向けて取り組み、紙版とLine版あわせて2500部普及することを目標とします。
④各組織の役員、協力者、加盟クラブ代表者への情報発信力を強めます。
⑤加盟クラブ(代表者)に1部無料配布できるような発行のあり方を検討します。

(2)ソーシャルメディア等の活用
①全国連盟のホームページやSNSを週に2~3回は更新できる体制をつくります。
②Webからの参加申込システムを各組織で活用してもらえるよう宣伝します。
③SNS広告を使って、大会行事(特に新規事業)の宣伝・集客を効果的に行います。
④各加盟団体のホームページ作成について積極的に支援します。
⑤アフィリエイト広告(*注5)の効果的な運用を検討します。
⑥全国理事会後に「全国連盟通信」を発行します。
⑦スポーツ連盟の活動(過去のもの・最近のもの)を伝える動画を配信します。
⑧メールニュースを各組織の役員にむけて1週間にほぼ1回配信します。
⑨各地の大会要項やプログラムに、「ひろば」やSNSにつながるQRコードやバナー(宣伝)をつけてもらえるよう取り組みます。

*注5「アフィリエイト広告」:インターネット広告の種類のひとつ。ユーザーが広告をクリックし、広告主のサイトで商品購入や会員登録などの成果が発生すると、その成果に対して報酬が支払われる。

5.財政の立て直しとともに、働きやすい環境、活動しやすい環境を整備しよう

(1)財政の堅実な執行と立て直し
都道府県連盟と全国種目組織で支えられる全国連盟は、スポーツ権の実現と平和な世界に向けた取り組みを行う唯一の組織です。そのために専従職員、機関誌の発行は欠かせません。この組織を維持するための中心は会員からの会費であり、会員拡大による財政確保が基本となます。
① 予算編成にあたって、22年度は各組織の活動支援、全国連盟の最低の活動維持を考えて80%での予算とし、23年度は通常の予算編成を行う予定です。また、ランク別分担金制度は継続します。
② 新たな組織、新たな種目・クラブの加盟促進など会員の拡大に取り組みましょう。新しい組織の支援活動を促進します。

(2)セミナー・リーダー養成
①34期で作成したリーダー養成講座を発展させて、全国理事だけでなく地域組織、種目組織で活用する育成システムを検討します。
②ブロックセミナーを活性化にむけた検討をします。

(3)各組織、各局の情報の共有化
①会員のデータベース化を図り、連盟員が地域を超えて、スポーツ連盟が主催する行事ならどの大会でも割引できるシステムを検討します。
②スポーツ要求をこまめにつかみ、全国連盟と地域組織の情報共有を図ります。
③書類のデジタル化を推進します。

(4)災害復興支援活動
①全国卓球協議会が2012年~実施している福島復興支援卓球大会(2020、2021年はコロナ禍で中止)などの復興支援事業を継続します。
②労山の復興支援事業(セミナー)と共同して復興支援事業を継続します。

6.スポーツ科学研究所

①年2回の研究会の開催、年報『現代スポーツ研究』の定期発行、定期的な通信の発行を進めます。
②研究会のシンポジウムとして、「札幌市へのオリンピック・パラリンピック招致問題を含めたオリンピック・パラリンピック運動の現状分析と課題・対案の提示」、「国や地方自治体のスポーツ政策・行財政の分析」、さらには、「人間にとってスポーツとは何なのか、どのような文化的特質をもっているのか」の解明を進めていきます。
③『現代スポーツ研究』第6号、第7号の刊行を目指します。
④研究所の研究運動を活発に進めるために、会員拡大と継続的な活動と広がりを追求します。
⑤『通信』の定期発行を目指します。
⑥事務局員体制を確立し、会計、研究年報の郵送等の活動を安定させていきます。