韓国体育市民連帯と3回目の交流~シンポジウム、地域連盟との懇談

 2010年10月23日から25日の3日間、韓国体育市民連帯の代表団=ナ・ヨンイル体育市民連帯共同会長(ソウル大学教授)、ナ・インキュン同執行委員(野球研究所所長)、ホ・ヒョンミ同事務総長(キュンイン女子大学準教授)=が来日、新日本スポーツ連盟と3回目の交流(1回目08年韓国来日、2回目09年日本訪韓)をしました。1日目の23日、東京都内で「スポーツと基本的人権」がテーマのシンポジウムに出席。シンポジストとして登壇したナ・ヨンイル氏は、「韓国におけるスポーツ人権の現在と未来」を報告しました。
 ナ氏の「(韓国における暴力・人権侵害の実態をリアルに表している)『暴力実態調査』をもとに、スポーツ分野の人権問題を解決していきたい」の発言に、参加者からは「大規模にそして様々な視点から調査がおこなわれている韓国の経験に大いに学んでいくことが必要だ」との感想が出ました。会のあと、シンポジストを囲んでの交流会は大いに盛り上がりました。
 2日目は、東京・北区連盟を訪問。午前中に赤羽月例マラソンを見学したあと、北区連盟事務所に移動し懇談をおこないました。代表団は、荒川河川敷でおこなわれていた少年野球やサッカーを楽しむ人たちにも興味津々、「トップ選手たちの施設はあるが、市民が韓国では気軽に使える施設が少ない」と現状を吐露していました。
 北区連盟との懇談には、代表団の他、北区連盟6名、東京1名、全国4名が出席。代表団からは「種目の連合体としての区連盟の運営の良さ、難しさはどんなところか。そうした課題をどう解決しているか」「事務所の費用はどのように捻出しているのか、いくらか」などの質問がありました。質問に答え、北区連盟からは「連盟発足に集まった一人ひとりが自らクラブを作っていった区連盟の歴史」や、「スポーツ連盟活動は運動体であり、それを実践するために種目間協力や種目を越えた活動に取り組んでいること」を話し、代表団も納得の表情でした。
 また、出席者から「韓国の生涯スポーツの状況を教えてほしい」といった質問があり、代表団は「韓国の生涯スポーツのモデルは日本だが、組織は半官半民で自立性がない状態。市民レベルの運動を活発にするために市民連帯を発足させた」と返答していました。
 最終日の午前中の体育市民連帯とスポーツ連盟全国の懇談で、2011年は体育市民連帯が計画している「平和マラソン」を中心に据え交流することになりました。同時に、今後も末永く、共通の課題で交流していこうと確認しあいました。
 3日間のみじかい交歓でしたが、代表団の「スポーツ連盟は、研究者とスポーツの実践者がともに支えながら活動を展開している。そこに、体育市民連帯の未来の姿を見ることができた」という感想に、今回の成果を感じました。