神宮球場&秩父宮ラグビー場は今のままで十分 再開発に疑問|国立競技場と神宮外苑を巡る見学会
2022年6月16日、2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会(オリパラ都民の会)は「国立競技場と神宮外苑を巡る見学会」を行いました(共催 新建築家技術者集団 東京支部)。
案内役は、新建築家技術者集団東京支部・事務局長の柳沢さん。千駄ヶ谷駅に集合し、国立競技場~神宮第二球場~明治記念館~銀杏並木~青山通りというルートを歩きながら、国立競技場の今と再開発計画で揺れる神宮外苑の現状を説明してもらいました。
「神宮外苑がとても危機的な状況になっている」と警鐘を鳴らす柳沢さん。「この辺りはもともと風致地区として指定され、建築物の高さが規制されていたが、新国立競技場をつくるときに風致地区が外されてしまったのです。建築界は反対運動をしましたが、結局、50m近くの高さになる競技場ができてしまった。今回の計画では、神宮第二球場のところに新しい屋内ラグビー場を建設することになっていますが、その高さは55m(約17階建て)。さらに、伊藤忠の東京本社ビルを高さ90m→180m(40階)の複合ビルに建てかえる予定なんです。色々なことを巻き込んでいますね」
三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事が進めるこの計画は、神宮球場と秩父宮ラグビー場を取り換えて、建てかえることがメインとなる再開発となっています。しかし、神宮球場も秩父宮ラグビー場も耐震改修をしていて、「今のままでも十分使える施設」と柳沢さんは言います。
「先人の有能な知恵を潰して新しいものを建てよう、古いものを無くして変えちゃおう、いうような計画ですね。野球場には高さ60mのホテルがくっつきます。施設に邪魔な木はとっちゃう、900本伐採と言われています。大義名分では『銀杏並木は残す』としていますが…」
屋内ラグビー場をつくるという計画ですが、そもそもラグビーは全天候型のスポーツなので「屋根は必要ない」と柳沢さんは指摘します。
「寒い時、暑い時、雪の時、雨の時…天候をどう自分の味方につけるか、というのもラグビーの面白さの一つ。そういうこともわかってなくて、屋根をつけて全天候型のグラウンドだというのは、本末転倒の話。商業施設にするために、このような矛盾がいっぱいくっつけられているということです」