スポーツ庁に「スポーツ事業補助金」継続を要望

2021年8月3日、新日本スポーツ連盟は、スポーツ庁に対して、昨年度に実施した「スポーツ活動継続サポート事業」の継続を求める要望書を提出しました。

「スポーツ活動継続サポート事業」(スポーツ庁)継続の要望

この事業は、新型コロナウイルス感染症のためにスポーツ活動自粛を余儀なくされた地域のスポーツ団体や個人に対して補助金が交付されるもので、交付決定した団体および個人は3862件、決定額合計は24億2146万6000円でした。

スポーツ連盟は、この補助金のおかげで多くのスポーツ団体や個人事業主が助かったと感謝の意を表し、また、いまだに収束のめどが立たない中、地域のスポーツ活動に深刻な影響を及ぼし続けている実情にあることから、「スポーツ活動継続サポート事業」の継続を強く求めました。

要望の内容としては、その他に「冬季のスポーツ活動も補助金の対象に含めること」「補助金の手続きを簡単に、迅速にすること」「公共施設使用料の減免をスポーツ庁から各地方公共団体に要請すること」「事務所維持、職員雇用の事業持続となる根幹への支援策を実施すること」が挙げられました。

スポーツ庁の担当者は、「昨年度の補助金で、コロナ対策のための器具などをそろえてもらい一定の整理はできた。(予算)実施率は60%程度と高くなく、今後も同じような趣旨の事業に、予算をつけるのは難しい」との回答。実施率の低さに対して、長井健治理事長は、「冬季スポーツが含まれていないなど対象が制限されていたし、複雑な事務手続きで申請をあきらめてしまった事例もある。国からのサポートの需要がないわけではない」と再実施の必要性を訴えました。

さらに、「昨年の補助金は、実際にスポーツ事業を実施しなければ申請ができなかったが、地域によって活動できなかったところもあった」「全国規模に対する事業支援は継続して、地域スポーツの事業支援は継続しないなんて、片手落ちではないか」「せっかく準備しても中止になったら補助金の対象にならなかった。文化芸術活動の支援金は中止になったとしてもOKなのに」などの意見が出されました。

スポーツ庁は今後、各団体に継続補助金に対する要望を調査し、検討するとしています。


スポーツ庁長官 室伏広治 殿

「スポーツ活動継続サポート事業」(スポーツ庁)継続の要望

2021年8月3日 新日本スポーツ連盟

<はじめに>
貴庁が、昨年度、新型コロナウイルス感染症のためにスポーツ活動自粛を余儀なくされた地域のスポーツ団体や個人に対する「スポーツ活動継続サポート事業」を実施されたことに対し、心よりお礼申し上げます。

一方、新型コロナ感染症がその後も全国的に拡大し、いまだに収束のめどが立たない中、地域のスポーツ活動に深刻な影響を及ぼし続けている実情にあり、本事業の継続が強く求められております。

<スポーツ活動継続サポート事業の結果と現場の実態>
本事業の業務委託を受けた公益財団法人日本スポーツ協会が開設した特設サイトによると、補助金の交付決定を受けた団体及び個人は3862件、交付決定額合計24億2146万6000円となったとのことです。

決定者の中には当連盟を含む多くの任意団体があり、またアスリートやインストラクターといった個人事業主の割合も非常に多く見て取れます。特にこうした申請者・団体にとっては、本事業の補助金を受けなければ組織の存続や生活自体が危ぶまれたのではないでしょうか。その意味でも、国民のスポーツをする権利を保障する観点から本事業が実施されたことの意義は大きく、また、個人事業主や任意団体が対象とされたことは実態に即した判断であったと言えます。

実際、補助金の交付を受けた月例マラソン大会の主催(任意)団体によりますと、感染対策のためのスタッフの増員や参加者枠の制限などにより最小限の赤字で活動を継続することができたとの報告を受けています。密集を避けるため参加者が一斉にスタートするのではなく、スタート時間を小刻みに分けて計測する方法をとるようにした運営スタッフの負担は非常に大きく、だからこそ参加者からの大会実施に対する感謝の声も少なくなかったようです。

また、公共スポーツ施設の利用に当たって、参加人数を制限 されることから、「経費の負担の増加」が主催団体の「自己責任」となり、負担増となっていることです。

今後も新型コロナ感染症が収束するまではこうした大会運営を継続していかなければならないことは言うまでもありませんが、そうすると経費負担とともに、事務所維持、職員雇用が重くのしかかってくることにもなります。

<実態に即した対策の必要性>
貴庁は、新型コロナウイルス経済対策として、「スポーツを未来につなぐ」支援の3段階のプロセスを示しており、現在はステップ3のポストコロナに向けた全国規模のスポーツイベント等の開催支援事業を開始されています。しかしながら、感染者数は依然増加または高止まりしており、国民が安心安全にスポーツを楽しめる環境が整ってきたとは到底いえません。また、ヨガ教室などの現場でクラスターが発生しているとの報道もされています。

大規模イベントへの開催支援にシフトするのは行政の公平の原則から見ても、あまりにも拙速ではないでしょうか。現時点では、まだまだ雇用維持や事業継続、安心・安全な環境における再開支援の段階にあり、そのための支援策を必要としているのが地域スポーツの実態であり、国の支援が待たれていると考えます。

<要望事項>
以上より、当連盟は、貴庁に対し、コロナ禍における国民のスポーツ活動の実施状況の把握に努めること及び次の具体的な対策をとることを要望いたします。

(1)令和2年度に実施したスポーツ事業継続サポート事業を再度実施すること
(2)事業計画は年間を通したものであり、対象期間に冬季のスポーツ活動を含めること
(3)交付申請手続きを簡便化し、迅速な審査をするための体制を強化すること
(4)公共施設定員制限に対応した、施設使用料の減免をスポーツ庁から各地方公共団体に要請すること。
(5)事務所維持、職員雇用の事業持続となる根幹への支援策を実施すること。

<最後に>
新日本スポーツ連盟では、本事業の広報活動や個別の相談対応などに努め、各関係団体が別添のとおり補助金の交付を受け、様々な運営の工夫や感染防止策をとった事業の再開、継続につなげることができました。こうした努力にもかかわらず、当連盟の会員は約30%減少するなど国民のスポーツ活動の困難はいまだ大きなものがあります。

国民のスポーツをする権利を保障していくために、貴庁が今年度もスポーツ事業継続サポート事業を実施されるよう、速やかに検討されるよう要望いたします。 以上