「障がい者スポーツの現状とパラリンピックの課題」~第6回研究会
第6回AISS(スポーツ連盟附属スポーツ科学研究所)研究会は、2017年9月2日(土)~3日(日)に京都駅烏丸口出てすぐの「キャンパスプラザ京都」で開催されました。参加者は延べで20名ほどでした。
初日はシンポジウム「障がい者スポーツの現状とパラリンピックの課題」がおこなわれ、シンポジストは金山千広さん(立命館大)、日野未奈子さん(リオ・パラリンピック視覚障害者マラソン伴走者)、チョン・キョンスさん(和歌山県立医科大)と全員女性で、それぞれスポーツ政策論、伴走者、医療・健康研究の視点から報告がありました。
報告と討論の中で、2020年東京パラリンピックでどのようなレガシーを目指すかという視点から、パラリンピアンとその関係者の費用、キャリア保障、練習場所、指導者、伴走者等の不足の問題が理解されるとともに、東京オリパラを障がい者の人権、一般市民である障がい者のスポーツ実践の保障と向上の起爆剤にしていくことの大切さが議論されました。
2日目の個人報告では、村下貫一さん(立命館大学生)、三谷舜さん(立命館大院生)、島田勇登さん(和歌山大学生)の報告があり、最後に功刀俊雄さん(奈良女子大)の報告で締め括られました。
学生・院生3名の報告は、1つにはノベルト・エリアスの文明化論、2つにはヨハン・ホイジンガの近代文明批判の視点から、中世から近代への歴史的変遷の中で遊びやスポーツが果たした役割、また遊びやスポーツそれ自体の変化とその意味を明らかにしようという壮大な視野と課題をもつものでした。
功刀さんの報告は、日本の学校保健教科書、新学習指導要において、LGBTI(性的マイノリティ)の人権無視の記述や扱いが依然としてあり、国連やユネスコのLGBTIの人権宣言等からかなり隔たりがあること、そして日本の青少年の性的指向および性自認の困難さを問題とするものでした。オリパラでもLGBTIの扱いは避けて通れない問題であり、東京オリパラを契機に日本でも改善されるべきことが議論されました。