札幌五輪招致に私もひと言!|新スポ連北海道連盟

10月11日、JOC山下泰裕会長と秋元克広札幌市長は都内で会見を行い、2030年の冬季五輪の招致を断念し、2034年大会以降の招致の可能性を探るとの方針転換を明らかにしました。一方、市民団体「札幌オリパラ住民投票を求める会」は、2034年大会も含め招致の是非を判断する住民投票をすべきだとして、引き続き署名運動を推進しています。

新スポ連北海道連盟は、札幌五輪招致に対する率直な意見を募集していましたが、今回、会員から届いたコメントを紹介します。

冬季五輪札幌誘致についてのご意見はこちらから
札幌冬季五輪は課題解決まで見合わせるべき(新日本スポーツ連盟北海道連盟)

これまでに届いたご意見

2030年冬季五輪の札幌誘致については疑問がいっぱいです

第一に東京五輪の汚職問題は解明されていません。なぜ起こったのか、もしかしたらこれまでも見えないところで汚職問題はあったのではと思うくらいに、いとも当たり前にやってのけていたことにあきれ果て、疑惑の塊になっています。さらに、市は「個人的事案であり、札幌の誘致活動と直接的に関係ない」とあきれる姿勢に驚きです。なぜですか!

東京五輪のマラソンコースを札幌市が受けて協力したではありませんか。五輪を成功させるためには日本全体の問題ではないですか。なんとお粗末なとらえ方なのでしょうか。しかも、東京五輪委員会はすでに解散し、積極的な解明に動いていません。

誘致は当五輪の疑惑をちゃんと解明して札幌市民を納得させないうちは前に進むべきでないです。私たちは意味がなく反対ではありません。もちろん、誘致によってスポーツの凄さをみて、感動して、街が潤うことは大賛成です。

第二は膨大な予算を組み立てての誘致であり、終わった後の施設の有効活用も念頭に入れて計画してほしい。いわゆる、札幌市民、札幌を訪れる観光客に還元してほしいです。

第三には五輪の根本精神に立ち返ってほしいです。いわゆる、五輪は世界の平和のためにあるべきスポーツなのです。そのことを今一度考えてください。そのための世界的な運動と理念の再構築を求めるとともに、開催にあたっては市民の冬季スポーツへの普及と開催に対する市民の絶対的な支持が基本的条件と考えます。企業だけでなく国民すべての祭典ですから。

全ての国民が気持ちよく五輪を歓迎できるように根本精神を顧みてほしいです。
(北海道 塩野谷勝子)


冬季五輪誘致は「今」ではない

今、なぜ冬季五輪誘致を急ぐのか理解できません。経済効果を求めると言うことなのだろうが、あの東京オリンピックの組織的な不正、そして市民はコロナによる社会構造の変化と行く末に大きな不安をいだいている折、多額の費用を要する大会を誘致する時とは思えません。

過去の札幌冬季オリンピックは一体になって応援した記憶があります。そんな大会を誘致するのは、もっと先です。(北海道 上坂英光)


オリンピック以前に、やるべきことが山積している

冬季オリンピックに名乗りを挙げている札幌では市民の6割以上が「反対」。問題は反対が半数以上であることよりはその「理由」だと思います。平和の祭典、世界中のアスリートが美と技を競い合う大会に通常なら8割、9割以上の人が賛成するはず。

反対だと言うことは、東京オリンピックの例から、オリンピックそのものに反対あるいは疑問、ということもあるでしょうが、私の周囲に人に聞いた限りでは、「オリンピックそのもの(目的・主旨)は良いが、札幌市はあまりにも市税を無駄に使っている。オリンピック以前に、やるべきことが山積している」という意見が多い。

私も、まったく同じ意見です。オリンピックありき、で招致を進めている市長の態度にも多くの批判が出されています。(北海道 増子捷二)


汚職問題が残る組織にオリンピックを開催する資格はない

札幌オリンピック招致はやめるべきです。東京オリンピックは招致に際して汚職疑惑で当時のJOC会長が辞任したり、決定後は組織委員会の一部の人たちの賄賂で有罪判決が出たりしていながら、JOC等はこの問題に関して何の検証もしていない。

オリンピック開催の名誉と責任は都市にあるとはいっても、実際にはJOC等が準備・開催するのだから、このような組織にはオリンピックを開催する資格はないと思う。(愛知県 浅間輝男)


東京招致のプレゼンから10年 ―いまの日本は…

東京オリンピック招致にあたって大きく効果があったのは、アンバサダーとして壇上に上った滝川クリステル氏のプレゼンでした。

1.「お・も・て・な・し」
 それから10年経ちました。で、このフレーズを考えてみました。『おもてなし』⇒漢字にすると、『表無し』=裏のみ ⇔色々なこと(招致にあたっての買収など)を説明できないので、情報公開ではなく談合で決めましょうと言うことを、外国ではなく日本にアピールしたのでは?

2.「アンダーコントロール」 
 故安倍首相は、東京電力福島原発事故の放射線汚染は、完全に支配出きているので心配なしと宣言した。本当にそうでしょうか、デブリを取り出せないので海に、処理水(本当は汚染水、処理したけど、放射能を出し続ける溶け落ちたウラン塊を除去できていない=この場合普通コントロールできていないと言うのです。

3.オリンピック組織委員会は、最低汚職など刑事訴追されないことが確認されるまで、オリンピック組織委員会を解散しないこと。 何故ならば、橋本さん、山下さん、小池知事さんなど何人もいますが、言い逃れできない仕組みが作られるならば賛成です。

4.誘致にあたっての見積もり予算と実行経費と違う場合、説明責任を果たすこと。(富山県 寺山秀行)


五輪の原点に立ち返った招致のあり方を

2020東京オリパラ談合事件の公判が東京地裁で進むなか、札幌冬季五輪招致をめぐり地元の札幌市では市民との対話事業を実施。「市税は絶対に使わないのか?」という質問に、市の担当者は終始、明言を避ける態度でした。

また、「東京大会で起きた汚職が札幌でも起きないと言い切れるのか」「冬の大雪対策、小中学校のエアコン設置等の問題を支援するべき」との声も。昨年12月に実施された地元メディアによる世論調査では、67%が「招致反対」「どちらかと言えば反対」と意思表示。住民投票条例を求める署名活動も始まっています。新スポ連北海道連盟も「一度止まって再考すべき」との声明を発表しています。

民意をもとに進めるという五輪の原点に立ち返った招致のあり方を今一度考えてみる必要があることを強く感じています。ちなみに、米国ユタ州ソルトレークシティが2030年または2034年の冬季五輪に候補地に立候補、それも地元の高い支持を得ているとの外電が配信されています。(「スポーツのひろば」副編集長 園川峰紀)


冬季五輪開催決定までの今後の動きは…?

今年10月、インド・ムンバイで開催されたIOC総会で、「2030年と2034年の冬季大会開催地を、来年7月の総会で同時決定する」ことが正式に決まりました。これにより、札幌市は2034年大会の招致も極めて厳しくなったというのが現状です。

ちなみに、2030年大会はストックホルム/オーレ(スウェーデン)、アルプ地方(フランス)、スイスなどが候補都市。2034年はソルトレークシティ(アメリカ)が有力とされています。

立候補を検討していたバンクーバー(カナダ)は、地元のブリティッシュコロンビア州が開催コストを理由に招致を支持しないと発表し、不利な状況に…。また、ピレネー・バルセロナ(スペイン)は、招致撤退を表明しました。

なかなか招致の手を挙げる都市が少ない冬季五輪ですが、そもそも地球温暖化の影響で、近年は冬季五輪を開催するだけの雪を確保するの困難になっています。カナダの大学の研究によると、世界の開催候補都市は、今世紀末までに2℃~4・4℃の気温上昇にさらされる見込みとのこと。「冬季五輪を安全かつ現実的に開催できるのは、過去21回の開催地のうち札幌だけとなる」との結果が発表されています。

開催のあり方が問われる冬季五輪。本来のオリンピック理念と、地元住民やアスリートの声を大切にして、開催地を決めてもらいたいものです。