「二の字でも滑れた!」スキー体験に喜ぶ|子どもスキーin岩手
5回目の「春休み子どもスキー」は、2016年3月19~20日三陸沿岸の宮古市田老地区、岩泉町、田野畑村の3市町村の子ども37名と保護者2名を迎え、ボランティア35名で成功させることができました。
そもそも雪が少ない沿岸部は、身近にスキー場もなく、ほとんどの子どもはスキー経験がありません。今回も初めての子がほとんどでした。11時過ぎにスキー場ホテルに着いた子どもたちは、玄関でスタッフの拍手と「いらっしゃい」の声で迎えられました。荷物を部屋におさめて、班のスキー指導担当者と一緒に昼食を済ますと、着替えてスキー靴を履かせてもらい、スキー板を抱えてゲレンデに集合となりました。
例年は、初心者用の斜面とリフトも使えるのが、今年は積雪が少ないところに10日も早い融雪でゲレンデにはぬかるむ所も。クワットリフト1キロ分のコースは、何とか滑ることができたのが救いでした。
スキーを担ぎ、班ごとに練習のできる所に。いよいよスキーの始まりです。準備体操後板の履き方、ストックの持ち方などを覚え、片足スキーや歩行、斜面の登り方と板が滑らない向きのとらえ方、転び方と起き方、ハの字にしての止め方までの練習でスキー板に慣れていきます。初日でクワットリフトに乗る班もでましたが、時折の小雨と緊張による疲れのため、多くの班はこの段階で終わりとなりました。
あと片付け後は、部屋に戻り4時から夕食までは入浴と休憩の時間です。4校から集まった子どもたちは、修学旅行のように高ぶりますが、夕食には静かにバイキング料理を楽しむひと時に変わりました。
そして夜の交流会。子どもとスタッフが一緒になって盛り上がります。係の菊川さんたちのリードで班対抗ゲームと歌に熱中。日中の疲れも見せない1時間が終わっても、熱が冷めないほどでした。
2日目は好天の朝を迎え、よく眠れなかった子や朝食が少ない子が気になるけど、外に出ると感心するほどの元気さです。班の多くは、初めからクワットリフトで上り、何回も転倒しながら指導者の指示で何とか滑り降ります。
2回目以降は転倒が減り、スピードも徐々に上がります。この段階になると、もう楽しくなり、滑りたくてたまらなくなるのでした。「今のコースをもう一度」、「まだ滑っていないコースにも」などと積極的です。ついに「二の字でも滑れた」と声を上げる子も。終了時には「リフトに6回も乗っていた」などと満足の笑顔が輝き、頂を見せる岩手山を背に班ごと写真におさまって、無事終わりました。
閉会式前、みんな感想文に集中する静かなひと時があって、代表して2名が感想を発表しました。2人とも立派な態度で、しかも自分で考えた言葉で、参加した喜びと感想をしっかりと話し、みんなからは共感のどよめきの声と大きな拍手が起こります。私たちスタッフは、このように被災地の子どもたちが非日常の体験で喜ぶ姿に痛く感じ入り、回を重ねてやり甲斐とスキー協会員としての誇りを胸に刻んできました。
「春休み子どもスキー」の成功には、5年間新日本スポーツ連盟と全国勤労者スキー協議会の物心両面での大きなご協力とご支援が不可欠でした。被災地の各教育委員会と学校、保護者と地域のご理解とご協力も不可欠でした。教育委員会の申入れなどで、いわて労連と各地区労連の役割も不可欠でした。これらの各団体と機関・関係のみなさんに改めて感謝とお礼を申し上げます。