創立60周年盛大に祝う|日本勤労者山岳連盟(労山)
2020年11月14日、日本勤労者山岳連盟(労山)は、「創立60周年記念講演会・記念レセプション」を開催しました。講演会で講師をつとめたのは、世界第2の高峰K2(8611m・パキスタン)を日本人女性として初登頂を果たしたフォトグラファー、小松由佳さんと、労山事務局長の川嶋高志さん。
小松さんは、K2登頂の際、最終キャンプに戻れず、8200mの高所で命の危険を冒してビバーク(緊急的に野営すること・不時泊)して生還した経験談などをスピーチ。人々の暮らしに関心を抱いた小松さんは、シリア遊牧民の大家族と生活を共にし、「質素でも生きる喜びにあふれる姿」を写真で記録するるフォトグラファーになりました。現在は、内戦で難民となったシリア人の「しなやかに生きようとする姿を写し取って伝える」ことをライフワークとしています。
川嶋さんは、山岳遭難に対応するために、労山が長く力を入れて取り組んできた「山岳共済基金」のあゆみを紹介。「仲間を救うための制度。そこが保険との違い」と強調しました。
労山は、1960年に「登山を広く勤労者のものとする」と、勤労者山岳会として発足。現在は、47都道府県に組織があり、約2万人の会員が入会しています。登山経験や実績に関係なく、だれでも自由に参加・発言できるのが特徴で、運動や組織を前進させてきました。1974年には、山岳事故に備えた独自の「山岳共済基金」を創設。当時は、民間の救助ヘリしかなく、救助要請すると「お金払えますか」と聞かれる時代で、保険もなく、議論を重ね、手探りではじめて、今日に至っています。
また、労山が活動の指針として挙げているのは、①権利としての登山、②登山の多様な発展、③海外登山の普及、④遭難事故の防止、⑤自然の守る活動の5つ。自然保護活動では、清掃登山を普及したり、「南アルプスの自然を壊さないで」とリニア新幹線計画の見直しを求める署名活動などに取り組んでいます。
▼日本勤労者山岳連盟
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