文=加藤久規男(和歌山ランニングセンター)
コーマラソンへの参加が決まった時、喜びのあまり、4日間で6レース88kmを走ることの大変さをあまり深く考えませんでした。海外でのレース経験はもちろん、海外旅行の経験も1度しかない私ですが、あまり不安を感じませんでした。それは、4月9日に大阪であった代表団の顔合わせで、私以外の3人が経験豊富な方々でレースのことやフランスでの生活についていろいろアドバイスを受けたからかもしれません。
私は、一番走行距離の多い2日目(午前20.8km、午後10km)のレースが一番のポイントになるだろうと思っていました。しかし、脚を中心に体全体に疲労がたまってくると、3日目以降、スタート前はいつも「最後まで走れるだろうか」「脚はつらないだろうか」といろんな不安が出てきて、「この大会はそう甘いものではない」と思うようになりました。事実、3日目の午後のレースから記録は大きく落ちてきました。
そんな私が最後まで走り通すことができたのは、アットホームな大会の雰囲気と、レースを重ねるうちに走力の近いランナーと何回も抜きつ抜かれつするなかで、同じコースを共に何回も走ってきたという親近感が湧いてきて、言葉は通じなくても心が通じてお互い励ましあえたからではないかと思います。
実際、私が最後のレースの20km過ぎで、完全にトボトボ走りになっていた時、後ろからフランス人ランナーに「がんばれ!」というように肩を押されました。そして数メートル前を振り返りつつ走る彼の後を必死に走り、共に手をとりあってゴールすることができました。そして、ゴール後しっかりと握手をしました。
私は大きな感動を得て、通訳の高山さんに「あなたがいたから頑張れました。ありがとう」と伝えてもらいました。