 |


1 2 3 最初のページ→
司会 フェアプレイを無視しているから、勝利至上主義になるわけですね。商業主義に関してはどうですか。
桑名 商業主義がすべて悪いと言われていた時代もありましたね。でもプロ化の波があって、プロ化にはそれが必要で、(スポーツと商業主義は)一緒に発展してきた部分もある。ですが、メディアやエージェントがフェアプレイ精神を無視したから、過度な商業主義になったわけです。
司会 では、その『過度』な具体例を教えてください。
桑名 具体的には今回のオリンピック招致活動が思い浮かびます。あるいはアトランタ五輪のとき、競技場内にあるメーカーのドリンク以外持ち込んでは駄目だということがありました。実際、現場ではそんなことはなかったようですが、そうやって自分の企業の商品だけ売る。これも過度な商業主義の1つですね。
永井 北京五輪ではアメリカのテレビ局が放映権を全部買ってしまったようですね。それで決勝はアメリカの夜の放送になったとか。選手の側にとってはコンディションがものすごく難しい時間帯に試合が組まれる。これは過度の商業主義ですよね。
桑名 はい、アメリカのゴールデンタイムに合わせて、競技日程が組まれていました。
司会 そうですね。選手に合わせて、試合を組むのではなくて。メディアに都合の良い報道時間枠を作って、そこに試合をはめ込む。北京五輪では、
午前中に予選を2回3回とやって、決勝は夜になりました。
桑名 あと、今思いついたのですが、ルールの変更もテレビ用になってきていますね。例えば、世界陸連(世界陸上競技連盟)が、(陸上の)フライングのルールを変更しました。以前は1人の人が2回やっても良かったのが、今回はより厳しくなりました。これは番組の時間内に競技を終わらせるためですね。メディア側とすれば、放送時間内に試合が終わらないと困るわけです。
司会 それは商業主義というより、メディアによるスポーツ支配ですね。
桑名 はい。メディア戦略のようなものです。ただ放映権料は競技団体にとって、大きな収入源になります。すると、メディアを無視した大会はなかなか開けなくなります。だからメディアが力を持つんですね。
永井 それに対してブレーキがかかり始めたのではないでしょうか。今回の2016年五輪招致問題で、シカゴが最初に落選しましたね。読売新聞の報道だと、アメリカのオリンピック委員会とIOC(国際オリンピック委員会)が一触即発になった。そう書いているのですが、皆スポーツ界におけるアメリカ一国支配を嫌ってきたのではないでしょうか。
司会 では今後、どのように『フェアプレイ宣言』を普及していきますか。
桑名 いろいろな現場に行ったとき、主催者側には「フェアプレイでやりましょう」と必ず伝えています。そして、この『フェアプレイ宣言』もパンフレットなどに載せるようにしています。さらに、来年3月に行なわれる29回総会で、フェアプレイについて、検証していきます。そこで、「じゃあフェアプレイってなんなの」と、論議をすることが必要なのではないかなと思います。そしてまず、新日本スポーツ連盟の中で検証や議論をしながら、フェアプレイを広げていきます。
司会 外へは発信しないのですか。
桑名 もちろん、今後は考えています。
司会 最後に、村山さんにこの座談会を聞いた感想を聞きたいのですが。
村山 はい、この座談会を聞くまでは「フェアプレイは試合の中だけの話」だと個人的に思っていました。
イチロー選手や中田英寿選手の考えはみなさん共感できると思うんです。そこまでいくために、みんなから尊敬できる人になるのに、どれだけ努力をしたことか。やっぱりその『人』を作っていくきっかけがスポーツだったんです。なんでもそうだと思うんですが、一流になるには『人』という部分がなければ、誰も尊敬しないと思います。サッカーが上手い選手はたくさんいるけれど、尊敬できない選手もいる。それより、上手くはないけれど尊敬できる選手。そういう選手は5年後、10年後に生き残っています。
その原点はフェアプレイになると思うんです。相手を尊重すれば、それは自分がその競技をやっていることも尊重することにつながる。まずは単純なプレイの中で、フェアプレイ精神を持ってやること。それがスポーツを離れた場所でも、人格形成の核となっていくと思います。
ぼくは現役をやりながら子どもの指導もしているんですけど、サッカーだけ教えても上手くなりません。子どもの頃は「自分が自分が」ってなってしまいます。でも一緒に片付けをしたりすると、なぜだかわからないですけど、サッカーが自然に上手くなるんです。だから結局はフェアプレイが上手くなる秘訣なんです。たとえアマチュアであっても、フェアプレイの精神を持っていれば、それが広がっていきます。良い意味で影響を与えられる。それがサッカー(スポーツ)には大切だと感じました。
1 2 3 最初のページ→
「スポーツのひろば」2010年1-2月号より
|  |
|
Copyright (c) 2008 New Japan Sports Federation. All rights reserved.
|
 |