スポーツ科学研究所が「政府による日本学術会議の特殊法人化に反対する声明」を発表

2025年2月3日、新日本スポーツ連盟附属スポーツ科学研究所は、政府が今国会で、日本学術会議を特殊法人化する法案を成立させようとしていることに抗議する声明を発表しました。

この声明では、スポーツ・体育が、学問・言論と同じく戦前戦中にその自由を奪われ、国家統制の手段となった反省に基づいて、「日本学術会議を特殊法人化しようとする法案に強く反対する」と主張しています。

日本学術会議は、昨年4月に発表した声明で『現代社会において、人類は、気候変動、新型コロナウィルスによるパンデミック、武力紛争をはじめ深刻な危機に直面し、学術がこれらの課題の解決に向けて果たすべき役割は、ますます大きくなっている』と述べ、学術の発展・成果を通じて国民と世界に真に資すべきという観点を堅持しているとして、日本学術会議の政府等からの独立性を徹底的に担保することと財政的支援を継続して行うことを強く要請しています。

今回の特殊法人化を目指す法案は、財務状況を監査する監事や活動を評価する委員会を新設する内容を含むものであり、日本の「科学者の総意」としての日本学術会議の在り方を根柢から危うくするものです。

昨年12月の学術会議総会では、会員から「独立した活動を阻害するもので、とうてい受け入れられない」との反対の声が相次ぎました。スポーツ科学研究所も、スポーツ研究運動組織として日本学術会議の法案反対の意向に賛同し、法案の撤回を強く求めています。

「政府による日本学術会議の特殊法人化に反対する声明」(全文)

日本学術会議を「特殊法人化」する法案に反対します

2025年2月
新日本スポーツ連盟附属スポーツ科学研究所
所長・山崎 健

政府は2025年1月からの国会に、日本学術会議を「特殊法人化」する法案を提出しようとしています。

日本の「科学者の総意」としての学術会議の在り方は、戦前戦中の国家による学問思想統制への反省に立って設立され、70年におよぶ活動の土台をなしてきたものです。

2020年、当時の菅義偉首相が会員6人の任命を拒んだことに端を発するこの問題は、日本学術会議法が政府からの独立をうたい、会員任命権が学術会議からの推薦に基づくものとして首相の任命権を制約しているにも関わらず違法的に任命を拒否したことに始まります。当時14万人を超える抗議署名、多くの学会協会の抗議声明にも関わらず、歴代政府は「機構改革が必要」との不誠実な論点のすり替えを続け、今回「国の特別の機関」としての「法人化」という名の「機構改革」を強行しようとしています。しかし、法案で具体化される仕組みは、財務状況を監査する監事や活動を評価する委員会を新設し、首相が任命するとした案も提示されたもので、2024年12月22日の学術会議総会では、会員から「独立した活動を阻害するもので、とうてい受け入れられない」との反対の声が相次いだものでもあります。

われわれ新日本スポーツ連盟附属スポーツ科学研究所に集まるスポーツ科学の研究者は、学問・言論と同じく体育・スポーツが戦前戦中にその自由を奪われ、国家統制の手段となった反省に鑑み、ここに日本学術会議を「特殊法人化」しようとする法案に強く反対するものです。