第35回全国スポーツ祭典の趣旨

国民が主人公のスポーツをめざして

新日本スポーツ連盟は、2024年10月、11月を中心に九州・沖縄ブロック主管で“スポーツで平和! みんなでいこう なんくるないさー”をスローガンとして第35回全国スポーツ祭典を開催します。前回2022年大会(34回)は中国・四国ブロック主管として準備を進め大きな成功を収めました。

第35回大会は、九州・沖縄ブロック主管で初めて開催するスポーツ祭典です。多くの市民が参加し人々にスポーツの素晴らしさ、楽しさを共有できる大会として成功させたいと考えております。

新日本スポーツ連盟は、1965年の創立以来「スポーツは万人の権利」の基本理念のもとに文化としてのスポーツの発展をめざし、国民だれもがスポーツに親しむことができるようにするために一貫して活動してきました。本祭典は、この理念に基づき、「だれもが参加できる国民に開かれたスポーツの祭典」「フェアでより高い目標にチャレンジする競技大会」として開催されます。

第35回祭典は、陸上競技、水泳、バレーボール、ミックスバレーボール、卓球、バドミントン、テニス、サッカー、ソフトボール、軟式野球、バスケットボール、ゴルフ、スキー、ウォーキング、ハイキング、空手の16競技種目で行われる総合競技大会として実施され、九州・沖縄ブロック(福岡県・宮崎県・沖縄県)を中心にして、12全国種目組織の共同で開催します。

全国スポーツ祭典の歩み

全国スポーツ祭典は1963年、だれもがスポーツをやれるように、スポーツにおいて強制や差別をなくすこと等を願う青年・学生、スポーツ関係者の共同の力によってスタートしました。これは、わが国のスポーツの歴史においてはじめての「国民が主人公」の立場に立つスポーツ運動の登場でした。その2年後に、新日本体育連盟(現・新日本スポーツ連盟)が誕生しました。2025年には創立60周年を迎えます。

これまでのスローガン、「いつでも どこでも だれもが スポーツを」「スポーツきみが主人公」「スポーツは平和とともに」などの呼びかけは、国民のスポーツへの願いを表わしたものです。とりわけ「いつでも どこでも だれもが スポーツを」は、今ではみんなのスポーツの実現を願う国民全体の共通表現となっています。

これらの歴史と伝統を受け継ぎ、第35回祭典は九州・沖縄ブロックでのスポーツがより発展するよう、さらには空白県である沖縄県での組織設立をめざし、各都道府県連盟と全国種目組織、開催自治体の全面協力のもとに開催されます。

スポーツのすばらしさ、フェアプレイをはぐくみます

スポーツは、たくましい身体、より高い目標をめざすチャレンジ精神、競技におけるフェアプレイ精神、友情と連帯をつちかうことを理想とします。それは人間が人間らしく発達するために生み出されたかけがえのない文化です。また、暴力の否定を通じて平和の文化としてスポーツを発展させることは、人類共通の課題です。

第35回全国スポーツ祭典は、スポーツ愛好者の力によってつくりあげ、だれもが自由に能力を発揮しあい、人としての素晴らしさをみがきあい高めあう、文化としてのスポーツ本来の価値が実現されることをめざす祭典として開催されるものです。

国民のスポーツの権利を実現することをめざします

本祭典は、すべての国民がスポーツに親しむことのできる条件を確立する運動、スポーツ選手の人権と活動条件を確立する運動の一環としても開催されるものです。

2011年に施行されたスポーツ基本法前文には、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、すべての人の権利」であると謳われています。ところが、都道府県や市区町村が策定するスポーツ推進計画では、自治体の責務についての明記が曖昧になっているものもあります。今後も、スポーツ基本法の理念に則った政策の実施を自治体に求めていくことが課題となっています。

近年は、自立したアスリートの登場と活躍が顕著になり、企業だけでなく「地域」や「個人」がスポーツ選手・チームを支える動きが目立っています。一方で、コロナ禍や日本経済の停滞などの影響により、財政難を理由に競技活動ができなくなるケースがあることも事実です。スポーツ基本法における国や自治体の責務に基づき、アスリートへの適切な財政支援を増やし、スポーツを国民の権利として実現するための共同の運動を広げることをよびかけます。

スポーツを通じて相互理解と友好を育み平和に貢献します

各地で平和マラソンを開催

オリンピック憲章の根本原則の一節に、「オリンピズムの目的は、 人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」《オリンピック憲章2021年版》とありますが、これは新日本スポーツ連盟の理念とも合致するものです。

2022年にはじまったロシアとウクライナの戦争では多くの犠牲者を出しいまだに出口が見えない状況下にあります。またイスラエルとパレスチナの対立でも戦禍が拡大し多くの市民に被害が及んでいます。スポーツ団体として世界の平和を呼び掛けることは大きな使命であると考えております。2024年も日本各地で「反核平和マラソン」が開催されます。8月6日から9日にかけては広島~長崎反核平和マラソンとして参加ランナーは核兵器廃絶、世界平和を訴え、被爆地広島から長崎のゴールを目指します。

2017年国連総会では、122ヵ国の賛同で「核兵器禁止条約」が採択され、2021年条約が発効しました。今後、日本政府や各国への条約の批准への取り組みが求められます。スポーツを通じて平和に貢献することは、崇高な価値があることと考えます。新日本スポーツ連盟は「スポーツは平和とともに」のスローガンのもと、こうした活動をみなさんとともにすすめています。

また、本祭典では、ジェンダー平等問題、環境・気候変動危機問題・SDGs(持続可能な開発目標)への深い理解がすすむよう各競技大会等で実践、提言、活動していきます。

最後に本祭典のスローガン「スポーツで平和 みんなでいこう なんくるないさー」の「なんくるないさー」とは、本来は「まくとぅそーけーなんくるないさ」の定型句を構成する言葉で「やるだけやったのだから、きっとなんとかなる!」人を励ます時に使うことばです。人として「まくとぅそーけ=正しい事、真(誠)の事をすれば」「なんくるないさ=何とかなるさ」を意味します。「人事を尽くして天命を待つ」と似たようなもので、まじめで誠実な一面が隠されています。

本スポーツ祭典のスローガンには、「大会まで練習を積み重ね本番当日にその成果を発揮するために全力を尽くすこと」へ「みんなで頑張っていこう」とエールを送る言葉として、また平和を希求した言葉をスローガン冒頭に置き「スポーツを通じて平和な社会をめざし、追及していくこと」への道が開けていくようにという願いが込められています。

2024年 新日本スポーツ連盟