第34回全国スポーツ祭典の趣旨

国民が主人公のスポーツをめざして

新日本スポーツ連盟は、2022年10月、11月を中心に中国・四国ブロック主管で“スポーツはかきねを越えて”をスローガンとして第34回全国スポーツ祭典を開催します。前回2020年大会(33回)は関東ブロック主管として準備を進めてきましたが、新型コロナウィルス感染拡大が続くなか、やむをえず中止としました。

第34回大会は、中国・四国ブロック主管で初めて開催するスポーツ祭典です。多くの市民が参加し人々にスポーツの素晴らしさ、楽しさを共有できる大会として成功させたいと考えております。

新日本スポーツ連盟は、1965年の創立以来「スポーツは万人の権利」の基本理念のもとに文化としてのスポーツの発展をめざし、国民だれもがスポーツに親しむことができるようにするために一貫して活動してきました。本祭典は、この理念に基づき、「だれもが参加できる国民に開かれたスポーツの祭典」「フェアでより高い目標にチャレンジする競技大会」として開催されます。

第34回祭典は、陸上競技、水泳、バレーボール、ミックスバレーボール、卓球、バドミントン、テニス、サッカー、ソフトボール、軟式野球、バスケットボール、ゴルフ、スキー、ウォーキング、ハイキング、空手の16競技種目で行われる総合競技大会として実施され、中国・四国ブロック(岡山県・高知県・徳島県・広島県)を中心にして、12全国種目組織の共同で開催します。

全国スポーツ祭典の歩み

第1回全国青年スポーツ祭典(1963年)

全国スポーツ祭典は1963年、だれもがスポーツをやれるように、スポーツにおいて強制や差別をなくすこと等を願う青年・学生、スポーツ愛好者、スポーツ関係者の共同の力によってスタートしました。これは、わが国のスポーツの歴史においてはじめての「国民が主人公」の立場に立つスポーツ運動の登場でした。その2年後に、全国スポーツ祭典の持続的発展と、わが国のスポーツ界の民主的改革をめざす共同センターの役割を持つスポーツ団体として、新日本体育連盟(現・新日本スポーツ連盟)が誕生しました。2025年には創立60周年を迎えます。

この間の祭典運動のスローガン、「いつでも どこでも だれもが スポーツを」「スポーツきみが主人公」「スポーツは平和とともに」などの呼びかけは、国民のスポーツへの願いを表わしたものです。とりわけ「いつでも どこでも だれもが スポーツを」は、今ではみんなのスポーツの実現を願う国民全体の共通表現となっています。

第34回祭典は、これらの歴史と伝統を受け継ぎ発展させるものとして、また中国・四国ブロックでのスポーツがより発展するよう、全国はひとつを目指し各都道府県連盟と全国種目組織、開催自治体の全面協力のもとに開催されます。

スポーツのすばらしさ、フェアプレイをはぐくみます

スポーツは、たくましい身体、より高い目標をめざす旺盛なチャレンジ精神、競技におけるフェアプレイ精神、友情と連帯をつちかうことを理想とします。それは人間が人間らしく発達するために、人類が生み出したかけがえのない文化です。また、暴力の否定を通じて平和の文化としてスポーツを発展させることは、人類共通の課題です。

新日本スポーツ連盟は2009年1月15日に「フェアプレイ宣言―スポーツの真の発展のために―」を発表しました。スポーツの価値の核心をなすフェアプレイ精神を、あらゆる場で発揮することを呼びかけます。

第34回全国スポーツ祭典は、スポーツ愛好者自らの力によってつくりあげ、だれもが自由に能力を発揮しあい、人としての素晴らしさをみがきあい高めあう、文化としてのスポーツ本来の価値が実現されることをめざすスポーツの祭典として開催されるものです。

国民のスポーツの権利を実現することをめざします

スポーツ庁との懇談(2017年)

本祭典は、すべての国民がスポーツに親しむことのできる条件を確立する運動、スポーツ選手の人権と活動条件を確立する運動の一環としても開催されるものです。

このスポーツ権の理念を明記したスポーツ基本法が2011年1月に施行されました。スポーツ基本法前文は、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、すべての人の権利」であると謳っています。

人々のスポーツの権利の確立をめざして開催してきた全国スポーツ祭典の基本理念が国民とスポーツ界の共通の理念となったことからスポーツ基本法制定を心から歓迎するものです。しかし、スポーツ基本法に基づいて都道府県や市区町村が策定したスポーツ推進計画は、自治体の責務の明記を曖昧にしたものが多いことも現実問題としてあります。自治体へは、スポーツ基本法に則ったスポーツ政策を実行、実現させることが課題となっています。

近年、国の内外で、自立したアスリートの登場と活躍が顕著になっています。企業スポーツの枠にとどまらず、地域から市民がスポーツを支える新しい胎動がはじまっています。その一方で、今日の経済危機を反映し、財政難等を理由にさまざまな障害があることも事実です。

スポーツ基本法が施行されたという新たな条件を生かし、スポーツとスポーツ団体が、自由に伸びやかに発展できるよう、国や自治体の責務に基づいて適切な財政支援を増やし、スポーツを国民の権利として実現するための共同の運動を広げようではありませんか。

スポーツを通じて平和に貢献します

全国各地で反核平和マラソンを開催

オリンピック憲章の根本原則の一節に、「オリンピズムの目的は、 人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」《オリンピック憲章2021年版》とありますが、これは新日本スポーツ連盟の理念とも合致するものです。

第二次世界大戦の教訓から、永久に戦争をしないと誓った日本国憲法9条は、世界に誇れる日本の宝です。2022年も日本各地で「反核平和マラソン」が開催されます。8月6日から9日にかけては広島~長崎反核平和マラソンとして参加ランナーは核兵器廃絶、世界平和を訴え、被爆地広島から長崎のゴールを目指します。

2017年国連総会では、122ヵ国の賛同で「核兵器禁止条約」が採択され、2021年条約が発効しました。被爆者の方々や、ともに取り組んできた方々の長年の運動が実った瞬間でした。今後、日本政府や各国への条約の批准への取り組みが求められます。

第一線で活躍するアスリートから市民スポーツ愛好者、スポーツ関係者がスポーツを通じて平和に貢献することは、崇高な価値があることと考えます。新日本スポーツ連盟は「スポーツは平和とともに」のスローガンのもと、こうした活動をみなさんとともにすすめています。

また、本祭典では、ジェンダー平等問題、環境・気候変動危機問題・SDGs(持続可能な開発目標)への深い理解がすすむよう各競技大会等で実践、提言、活動していきます。    

2022年 新日本スポーツ連盟