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新日本スポーツ連盟第30回定期全国総会 特別決議

わが国スポーツ界の歴史的転換点に立って、国民のスポーツ権実現のために、すべてのスポーツ団体は協力・共同しよう

 20世紀の国際的スポーツ界の重要な到達点のひとつは、市民スポーツ、健康スポーツ、障害者スポーツ、競技スポーツなどあらゆるスポーツ活動を包摂し、また発展方向を示す理念として、「スポーツ権」を国際的な合意にしたことでしょう。

 それを象徴的・集中的に表現した国際的文書が、1978年にユネスコ総会が採択した「体育・スポーツに関する国際憲章」です。その第1条は「体育・スポーツの実践はすべての人にとって基本的権利である。」と謳っています。

 21世紀を迎え、この「体育・スポーツに関する国際憲章」もひとつの根拠となって、国連は「教育、健康、開発及び平和を促進する上でスポーツと体育が果たす重要な役割について、国際社会の理解を高めること」を目的に、2005年を「スポーツと体育の国際年」とすることを決定しました。国連総会で、スポーツの問題が決議される時代を迎えているのです。

 こうした国際的な動向と関連して、わが国におけるスポーツ権にかかわる21世紀の新たな課題が、法制上スポーツ権をどう位置づけるかでした。それは「スポーツ基本法」として、2011年実現しました。「スポーツ基本法」は、その前文で「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」であると謳っています。国民のスポーツ権を明記したスポーツ基本法の成立は、遅れたわが国のスポーツ施策を根本的に転換する出発点となりうるものであり、画期的な意義をもつものです。

 まさに、わが国のスポーツ権をめぐる論議は、その前史を終えて、本史の扉が開かれたのです。わが国のスポーツ界は、歴史的転換点に立っているといえるでしょう。新日本スポーツ連盟は、1965年「スポーツは万人の権利でなければならない」と宣言して船出したスポーツ団体として、スポーツ基本法の成立を心から歓迎するものです。

 スポーツ基本法は、第5条(スポーツ団体の努力)の条項で「スポーツ団体は、スポーツの普及及び競技水準の向上に果たすべき重要な役割に鑑み、基本理念にのっとり、スポーツを行なう者の権利利益の保護、心身の健康の保持増進及び安全の確保に配慮しつつ、スポーツの推進に主体的に取り組むよう努めるものとする」としています。

 新日本スポーツ連盟は、スポーツ団体がそれぞれに主体的にスポーツの推進に取り組むとともに、スポーツ基本法が成立したこの機にその立場や歴史を超えて、国民のスポーツ権を実現するために協力・共同することを、心から呼びかけるものです。そのことが、今日ほど時代の要請となっている時はありません。

 こうした協力・共同の力でスポーツ権実現の道を切り開くことは、東日本大震災ならびに福島第1原発事故からの復興にも、スポーツを通じて貢献できるものと確信します。

 スポーツは、フェアプレイを至上の価値とし、個人レベルでは健康と楽しみをもたらし、技術の習得と能力の発揮による自己表現、達成感、そして他者との交流と連帯を創りだします。社会レベルでは、社会関係を豊かにし、諸国民間の相互理解と友好を促進し、平和に貢献します。

 新日本スポーツ連盟は、これらのスポーツが持つ価値と役割を体現し、わが国スポーツ界の歴史的転換点にあたって、自らスポーツ活動の質的な向上をはかることを通じて、国民のスポーツ権の実現のために、力を尽くすことを表明するものです。

2012年3月11日 新日本スポーツ連盟第30回定期全国総会





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