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勝利への脱出

監督/ジョン・ヒューストン
出演/シルベスター・スタローン
   マイケル・ケイン
   ペレ
1981年アメリカ


オススメ度
★★★
(満点=5つ星)
 舞台は第二次世界大戦・ドイツ占領下のフランス。連合軍の捕虜たちが上半身裸でサッカーをする光景を見たドイツ国防軍のシュタイナー将校が、ぼそっとつぶやく。

 「殺し合うのは意味がない。国家間の争いは、サッカーで解決すべきだ」  なんて積極的なスポーツの政治利用なんだろう! でも、兵器を使って争うくらいなら、ボールを使って争ったほうがマシ?(いや、そもそも争わないのが一番いいのだが…)

 そんな極端な考えから、ドイツ連合軍チームvs連合軍捕虜チームというサッカー試合の開催へと発展するストーリーである。

 戦時中に、敵同士が対戦するというあり得ない試合に、さまざまな思惑が重なり話は進む。スポーツで士気を上げようとする軍隊、プロパガンダとして使おうとするナチス、試合のどさくさに紛れて逃げようとする捕虜…。

 圧巻は、30分間に及ぶサッカーシーン。ブラジルのペレ、アルゼンチンのオズワルドなど世界の名選手も出演していて、華麗なプレイを魅せている。試合は、ドイツ軍のラフプレイで荒れに荒れるが、連合軍もケガ人を出しながら健闘する。そして勝敗の行方は…。

 いろいろ思惑があったが、最後はサッカーを純粋に楽しむ空気がスタジアムを包み込む。結局、試合が終わってみると、捕虜たちは脱出のことなんてどうでもよくなっちゃたりして…。(佐藤信樹)


あしたのジョー

監督/曽利文彦
製作/「あしたのジョー」製作委員会
出演/山下智久
   伊勢谷友介
   香里奈
   香川照之
2011年日本


オススメ度
★★★★
(満点=5つ星)
 誰もが知る名作漫画の映画化となれば、原作ファンからの批判は必ず覚悟しなければいけないことなのかもしれない。だがその観点からみれば、この「明日のジョー」は「成功」といえる作品ではないか。

 舞台は昭和40年代の東京の下町。喧嘩に明け暮れる不良少年・矢吹ジョー(山下智久)は、元ボクサーの丹下段平(香川照之)にボクシングの才能を見込まれていく。途中、矢吹は問題を起こして少年院に入るが、そこでプロボクサーの力石徹(伊勢谷友介)と出会う。ライバルとして認め合う二人は、試合で対決することを目標に日々厳しい練習に精を出す。恵まれた環境でトレーニングを積む力石。対して、資金力がない矢吹は丹下と共に地道に自らを鍛え上げていった。劇中のストーリーは、矢吹と力石の試合が終了するまでを描いている。

 人間ドラマの部分だけではなく、俳優たちが身体をはって演じているシーンはとても迫力があった。特に力石の減量の場面はすさまじく、口を塞いでしまいたくなるほどリアリティがあるものだった。映画公開当初、「プロさながらの」と形容されていただけある。

 もともとは男臭いストーリーだが、主演がジャニーズの山下智久の爽やかさで緩和されている感があり、女性が見ても純粋に楽しめる映画だ。もちろん、男性ファンが見てもがっかりしないだろう。鍛え上げられた俳優陣の肉体や、映像の美しさ、ボクシングシーンの臨場感は、素直に素晴らしい。

 それぞれクセのあるキャラクターが、自分の明日に向かってひた走る。決して諦めず屈しないその姿は、誰が見ても勇気をもらえるに違いない。(山口優希)


フィールド・オブ・ドリームス

監督:フィル・アルデン・ロビンソン
出演:ケヴィン・コスナー


オススメ度
★★★★
(満点=5つ星)
 アメリカ野球文化の奥深さと、家族愛を描いたファンタジー映画。この作品に現れる男たちはみな、その心に失意や後悔といった傷を負っている。1919年に八百長(ブラック・ソックス事件)で球界を追放された「シューレス」ジョー・ジャクソン。メジャーで1打席も立てなかった元選手の医者。名作を出しながら、現実に失望して断筆した作家。元マイナー選手で野球の話しかしない父と、亡くなるまで父に反目した息子。彼らがいつも胸の奥に抱えながら、しかし決してかなえられなかった夢を実現したのが、厳しい生活のなかで主人公がトウモロコシ畑を切り開いて作った球場だった。

 作品には「誰かの声」やタイムスリップ、死者が目の前に現れるなど、ファンタジーの要素が満載。そこにメジャーリーグの史実や借金の取り立てといった現実が織り込まれる不思議なストーリー展開。ただ、家族3人で木のベンチに腰を掛けて野球を観戦したり、「亡き父」とキャッチボールするシーンがもつあたたかさは、野球が国民の娯楽として深く定着していたアメリカの素朴な日常を実感させてくれる。

 ただ、この作品が作られたのはおよそ20年前。この間のアメリカでの野球人気の没落は著しい。その意味では、現代のアメリカでは失われつつあるノスタルジーを写した作品ともいえるのではないだろうか。(中村哲也)


勝利への旅立ち

監督:デヴィッド・アンスポー
出演:ジーン・ハックマン


オススメ度
★★★
(満点=5つ星)
 ダメダメな弱小チームを1人の人間が変える。こういう映画はたくさんある。例えば、昔の「メジャーリーグ」。今の「もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)」もそうだ。奇跡を起こし、見る人に感動を与える典型的なお決まりストーリー。

 舞台は1951年、米・インディアナ州の田舎町だ。その町の弱小高校バスケットボール部に主人公である新任コーチ、ノーマン・デイル(ジーン・ハックマン)がやってくる。変化を好まないこの土地で反感を買いながらも、自分のやり方を変えず、一生懸命指導に徹する。その熱心さがノーマンを敵視していた選手もファンも1つにしていく。

 はっきり言って、この映画に新鮮さは感じなかった。ただ1つ良かったのは人間の弱さを描いていることだ。登場人物のシューター(デニス・ホッパー)はただのバスケ好きの酔っ払い。でも知識が豊富で、新任コーチのデイルに勝手にアドバイスをする。最初は助言を聞き入れなかったデイルも、シューターのバスケに対する熱い気持ちに心打たれる。デイルはシューターを助手にし、チームは勝ち続ける。ところが、シューターは酒の誘惑に負けてしまう。また以前の酔っ払いに戻ろうとしているシューターをデイルは励まし続ける。またシューターと息子との家族愛にも注目だ。

 人間は失敗するが、どこからでもやり直せる。もしかすると、今こそ日本人が見るべきなのかも……。(一柳英男)


チャンプ

監督:フランコ・ゼフィレッリ
出演:ジョン・ヴォイト


オススメ度
★★★★
(満点=5つ星)
「大きくなったら偉い人になる、チャンプみたいに」  妻に家を出ていかれ、競馬場で働く元世界チャンピオンボクサー・ビリーと、その息子TJの物語。ビリーがどんなに酒を飲んでも、ギャンブルにハマっても、T.J.は父親を「チャンプ」と呼ぶ。親子愛たっぷりの映画だ。

 劇中では、息子TJの素直な性格と豊かな表情が光っている。ホントにかわいい。周りは競馬場のあやしい連中ばかりで、育ての親は飲んだくれの親父だけ…という環境で、どうしたらこんな素直な子どもに成長するんだろう?

 おそらくビリーは世界チャンピオンになったことで得たモノもあれば、失ったモノもたくさんあっただろう。しかし、そこで得たモノは時を経て、息子の心のなかでかけがえのないモノとなっている。息子は父親のボクシング姿を見たことがないのに、2人はボクシングでつながっているのが面白い。  終盤、ビリーは再びリングにあがることを決意する。

 「もう決めたんだ。オレと息子のためにやる」  ビリーはそれ以外カムバックする理由を口にしない。なぜ、またボクシングをやるのか? それは是非実際に観てほしい(意外と単純?)。私にとっては、何回観ても涙なしでは観られない映画。この文章を書いていても、う〜涙腺が…。(佐藤信樹)



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