アングル

順調に成長する女子モーグルの新芽たち
バンクーバー冬季オリンピック
 モーグルの上村愛子が4位になった。メダルに届かなかったとはいえ、この4位には大きな意味がある。

 前回トリノで、女子としては稀なコークスクリューという大技を成功させたのを記憶しているだろうか。上村は空中を舞うエアーを得意とし、その技を磨いてきた。しかしトリノ以後は、新たにコーチになったヤンネ・ラテハラの薦めもあって、高速のカービングターンへ重心を移した。スキーを滑らせるというよりも、雪の階段をスキー板でたたいて下るような"縦の滑り"を創り出して来た。

 その成果が2007/8シーズンのFISワールドカップ年間総合女王や、翌2008/9シーズン猪苗代での2冠となって花開いた。上村の高速ターンは、他の選手の注目するところとなり、研究され、模倣されてきた。今回バンクーバーでは、その高速ターンの出来・不出来が上位と下位の分かれ目だった。高速ゆえにコントロールを失い、転倒して下位へ沈む選手も目立った。上位に残った選手は、高速ターンを決めながらもその速さを感じさせない上体の安定感があった。

 上村は長野7位、ソルトレーク6位、トリノ5位、そしてバンクーバー4位、4年ごとに一段ずつゆっくり雪の階段を登ってきた。それは上を目指して技を磨き、精進してきた証である。「全力を出しきれた。いい滑りができた」という言葉には、実感がこもっていた。ただ悔しさは隠しきれない、「私はなんでこんなに一段一段なんだろう」と流した涙は、また次の一歩を踏み出す力になるだろう。

 決勝に残った20人の中には4人の日本人選手がいた。8位に入賞した村田愛里咲(19歳)、12位になった伊藤みき(22歳)もいる。里谷に刺激され、上村が切り開いてきた女子モーグルの道には、若い芽が確実に育ってきている。(文=西條晃)

「スポーツのひろば」2010年4月号より


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