バンクーバー五輪プレビュー

初出場中学生、高木さんに暖かい応援を
バンクーバー大会、選手への期待
 本誌が皆さんの手許に着く頃、第21回冬季オリンピックバンクーバー大会直前。  雪に覆われた大自然の中で、競われるスキー・スケートなどは、 夏場にない魅力があります。  と同時に、冬季オリンピックは、 大会施設と自然保護との兼ね合い大変難しくなってます。 今度のバンクーバーで、健闘する日本選手は誰か予想立てつつも、冬大会の隘路にも触れて見ましょう。

初出場、高木・小平の「伸びしろ」に期待
 中学生で初出場の高木(スピー ドスケート)は、昨今の“促成栽 培的”選手と異なり、その身体的 能力は、生活環境からから作られ、 芯から強い物を伺わせます。
 サッカーとヒップホップダンス に通うために、往復20kmを自転車。  これで、強いだけじゃない柔軟 なインナーマッスルを鍛えられ、それがスピードとコーナーテク ニックに繋がるのでしょう。
 同じ種目の小平もスゴイ!  今シーズン当初、3種目をすべて 日本新記録で優勝、国際大会でも 2位を獲得。その凄さは、後半 スピードが落ちないことにあります。  二人とも、「団体追い抜き」の 代表で、成長株の穂積と共に、メ ダルへの最短距離。共に大きい「伸びしろ」に期待。「勝って勝って勝ちまくれ」(石原都知事)と、プレッシャーをかけるのではなく、温かい応援を。

皆川(回転)・岡崎(s.スケート) コンマ差にリベンジ
 前トリノ大会では、惜しくも4位に止まりメダルに届かなかった選手が多くいましたが、中でも次 の二人は、0.05秒差などまさ 「鼻の差」で敗れています。  一人は皆川(アルペン回転)、も う一人は、オリンピック出場五度 のベテラン岡崎(スピードスケー ト)。
 競技種目こそスキーとスケート の違いありますが、二本滑っての コンマ差での4位、その口惜しさ はそう簡単に拭い去れないもので しょう。今大会でぜひリベンジを。そのためにも、直近の国際大会で 調子を上げ、良い記録を残すことが前 提となります。

上村(モーグル)・滝澤(スキークロス)の実績、だてじゃない
 アルペン系から派生した新しい種目に、入賞・メダルの期待があります。  冬季オリンピックの申し子みたいな上村だが、メダルには縁がない。18歳で初出場の長野7位。次のソルトレークシティで6位、前回のトリノで5位。今度こそメダルへと、「ターン」を決めたい。  新種目のスキークロスでは、「世 界」で優勝経験もある滝澤。  複数で起伏の激しいコースを滑 るので、相手と接触することは当 然。ソレによって転倒し、怪我も。  1~2ヵ月入院したことが数回、 が、それにめげず頑張って!

男女ともメダル候補のフィギュア
 一つ競技種目で、コレだけの逸 材が一度に揃うのは、そう滅多に ないが、「金」は難しいか。  キム(韓国)が、浅田・安藤の の前に立ちはだかり。高橋・織田 の「壁」になるのがプロシェンコ (ロシア)か。

低迷から高く、踏みきれジャンプ陣
 前前々回の「長野」での活躍以降、あまりパッとしないジャンプ。  何度かのルール改正に対応遅れもあるだろうが、世代交代が上手 くいってないのだろうか。  ここは一番、「W杯」で、伊東を先頭にベテラン葛西・岡部などが、 若い栃本・湯本を引っぱって、オー ストリア・フィンランド勢の一角 を崩し、プレッシャーかけてオリ ンピックに臨みたい。 複合では、ルール改正で「距離」に強い小林が有利か。

あまり「人工的」にせず
 スキー・スケートは大自然の中で、「自然」に行ないたい。  スポーツ技術の発展に伴なって 用具・ウエア・施設が発明開拓さ れ、ルールまで、変更せざるを得 ない状況にあります。  スケートリンクがほとんどイン ドアになり、優れた製氷技術をし て記録が出やすくなったのは、「 スラップ」の所為だけではない。

 そんなプラス面もあるのだが・・・・・・。  スキー・ボードのゲレンデは、 最近とみに「不自然」で極めて「 人工的」です。  斜面に人工的な「コブ」を無数 につくるモーグル。  エアリアルは、空中高い所でパ フォーマンスせるためのシャンツエ は、奇異と思えるほどに「不自然」。  ボードのハーフパイプも然り。  その典型は、今オリンピックの 新種目「スキークロス」。  壁・ジャンプ台・などをつくり、 複数でスタート、接触することも、 大変危険が伴なう。  危険という点では、スキーアル ペンも、最近とみにコースが先鋭化 され、怪我が多い。

 「温暖化」対策急務の時、環境保 護の観点からも、「大自然」を破壊 するような「人工的」のものを、こ れ以上持ちこみたくない。  選手の安全からも、考慮すべき。IOCコングレスで 「競技者第一」と決めたことでもあるから……。(文=長尾正二)

「スポーツのひろば」2010年3月号より


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