聴覚を使って打ち合うピンポン
2008年11月号
 千葉県障害者スポーツ・レクリエーションセンターに、千葉県スルーネットピンポン協会が、毎月1~2回の日曜日に集まっています。スルーネットピンポンは、視覚認知の代わりに聴覚を利用します。すべてボールは、台上にころがしネットの下を通して打ち合います。ボールはあまり弾まず、聴覚認知しやすいように、一般のピンポン球の中に3個の小さな鉛の球が入っていて、打つと鈴の音を出してころがります。ボールの直径は40mm、ネット下の幅は42mm。ラケットも打球音を吸収しないようにラバーはつけず、木部面で打ち合います。卓球台は継ぎ目でのイレギュラーを避けて一枚板で、両サイドには15mmのフレームがあって、落球を制限します。

 千葉県スルーネットピンポン協会会長の小原良一さん(60)に聞きました。この日はご自身ゲームをリードしていましたが、日頃は、鍼灸マッサージ個人営業の院長さんです。千葉でスルーネットピンポンを立ち上げて14年ですが、「盲人卓球」(サウンドテーブルテニス)からの運動歴は30年のベテランです。スルーネットピンポン、サウンドテーブルテニスとも視覚障がい者を中心にしたスポーツで、サウンドテーブルテニスは国体種目にもなっています。

 両者の大きな違いは、スルーネットピンポンがサウンドテーブルテニスで義務づける「選手は必ずアイマスクを着用する」規則を除外した点にあるようです。このことで試行錯誤しながら、ハンディキャップを認めて、年齢や障害の有無を問わず誰もが、同一ルールで参加できるスポーツが始まったのです。

 小原さんは、「どちらかというと、サウンドテーブルテニスは勝負にこだわるけど、スルーネットピンポンはラリーを楽しむので、考え方からすれば違うスポーツでしょうね」と。実際、「行きまーす」と声を掛けてサーブし、「はい」と受けて始まるラリーはかなりのスピードで続きます。鍛えられた(であろう)聴力のすごさを感じます。審判は、協会の講習会・テスト(知識と実技)を経て、ライセンスを取得します。

 北京パラリンピックの取材でしたが、小原さんは「将来、スルーネットピンポンをパラリンピック種目にするのは高望みかな」と楽しそうでした。(文=小柴晃)

「スポーツのひろば」2008年11月号より


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